参考ホームページ
参考文献
艤装工場(総組立て)(Assembly)
代表的な艤装工場の組立ラインは下記のとおりである。
20世紀末の日本で主流となっていた典型的な小型乗用車の最終組立ラインを素描するならば、次のとおりである。
タクトタイム(1〜2分)、1日2交替、16時間操業で年産10〜20万台、作業者は1交替あたり200〜500人、1ライン100〜200工程、全長500〜1000メートルのコンベアラインを車体が約5メートル間隔で次々と流れる。
サブ組立ラインを含め、1台あたり1000〜2000個ぐらいの部品を組みつける。
自動車の2万〜3万点であるから、ライン装着部品は、平均10数点ぐらいの子部品をあらかじめ組んだ集成部品ということになる。(359ページ『能力構築競争』)
艤装工場は大きく分けて、艤装工程と検査工程に分かれている。
検査工程は目で見て装備が正しく付いているか、キズなどがないかを見るインスペクションの工程と、実際に車をテスターの上で動かして行うテスト工程に分かれている。
標準的な艤装ラインは1000m程度の長さがあり、タクトタイム60秒程度で流される。
トヨタ自動車の九州工場(宮田工場)の例を、参考に引用する。
宮田工場の組み立てラインは、11本のメインラインのほか、サブライン6本からなっている。
「トリムライン」、エンジンなどを取り付ける「シャシーライン」、エンジンまわりやトランクまわり、および内装などの組み立てを行う「アッセンブリーライン」、ブレーキオイルなどの液物を扱う「ファイナルライン」、外観・組み付け品質の検査を行う「アッセンブリー・インスペクションライン」、
エンジン、サスペンション、メーター類の性能および機能検査を行う「ファンクション・インスペクションライン」、水漏れテストを行う「シャワーライン」、最終的な車検を行う「シッピングライン」などで構成されている。
各ラインの長さは約百メートルで、1本のラインを1つの作業チームが担当する。
その特徴は3つある。第一は、ラインを作業単位ごとに短く分割していることだ。
その背景には、部品点数の増加と部品供給の能率低下があった。
長いラインのままだと、さまざまな障害物の間を縫うようにして部品を供給しなければならず、部品供給距離が長くなるなど、アクセスが悪い。
その点、ラインを分割すれば、各工程に部品を最短距離で供給できる。
第二は、必要であればラインを止めてもいいという姿勢がいっそう貫かれていることだ。
ライン作業でもっとも負担になるのは、ラインを止めたらみんなに迷惑がかかるというプレッシャーのもとで作業をしなければならないことである。
シャシーラインの隣にくるはずのアッセンブリーラインを、トリムラインをまたいで反対側に敷設するといった、あえて非効率な配置を試みた結果、手間のかかる取り付け作業をあわてずに行うだけの時間的余裕が生まれた。
何らかのトラブルが発生してラインが止まったとしても、それがただちに隣のラインに影響を及ぼすことはない。
第三は、ラインが機能別に完結していることだ。自分が現在、どこの部分の作業しているかわかるほか、2時間ごとにチーム内で作業を変え、変化をつけるとともに、各人の作業レベルを明確化し、個人のスキルアップにつなげている。
また、各ラインごとに検査機能が設けられ、工程が完結していることだ。
分割ラインごとに部品の品質に責任を負うようにし、仕事に対する張りややりがい、品質向上の意欲を高めている。(87〜88ページ『トヨタの方式』) それまでの長く1本につながったラインを廃し、工程をダッシュボードやインパネ、エンジンルームなど機能別に11に分割したのである。
もうひとつ品質管理の重要な道具として、アンドン紐がある。
各工程は約20人で構成する作業チームが責任をもって運営、後工程に渡す際に必ず品質確認をするという仕組みを作った。
この結果、不具合の件数は従来のおよそ5分の1に低減されたうえ、生産性も1割程度向上した。
宮田工場のこのラインは「自律型完結工程」と呼ばれる。トヨタは、この仕組みを新型車の生産ラインに順次適用し始めている。(91ページ『トヨタ「奥田イズム」の挑戦』)各チームメンバーの手の届く範囲にぶらさがっている頭上の紐は、物干し綱のように組立ラインの至るところに張ってある。
チームメンバーは誰であろうと、問題の兆候が見えたときにはこの綱を引っ張る責任があることを自覚している。
クルマの全ての検査を検査工程で行うことは不可能である。
自律完結ラインとアンドン紐システムの相互作用によって、工程内検査の機能を強化し、結果として品質管理を強化している。
アンドンの紐を引くことは、よく噂されてきたように、ただちにラインの仕事の流れを止めるということではない。
紐を引くということは、単にチームリーダーまたはグループリーダーといった監督職位の者に、ある異常を見つけた従業員を支援する準備体制に入れという一種の注意喚起である。
チームメンバーが問題解決に取り組んでいる間もラインは止まることなく流れつづけている。
それは標準の時間間隔、つまりクルマが生産ラインから完成して出ていく「タクト・タイム」(通常は、55秒から60秒)の終点に達成するまでの間だ。
ラインが停止するのは、チームメンバーあるいはチームリーダーや監督者が、そのときのタクト・タイムの残り時間内に問題解決ができなくて、アンドン警戒態勢が解除できなかった場合のみである。
停止が必要な事態になったときでも、工場全体の仕事が停止することはない。
事故の起きたワークステーションに直接接するワークステーションの範囲内で停止するだけである。(118ページ『トヨタはなぜ強いのか』)
また、工場の効率を表すのに“直行率”がある。
もう1つは、「直行率」の向上だ。直行率とはラインオフした車両のうち、最終的な手直しを必要としない車の比率のことをいう。
不具合があって手直しが必要だと、それだけで半日や1日の遅れになる。
例えば、北海道や九州で受注した車であれば、工場での半日遅れが配送計画にも響いて、納車が2日あるいは3日遅れになる可能性がある。
直行率とは納期に直結する指標だ。
米国自動車製造ケンタッキー工場(TMM−K)では、手直するクルマが少なく、直行率が高いという。
(中略)
高橋氏がカスタマーインを唱え始めたころは「各工場を平均した直行率はせいぜい7割くらいだった」。
だが、今日では「工場によっては9割を超えてきた。この様子なら、ほとんどの車種で納車期限を約束できるようになる」という。(91ページ『トヨタ「奥田イズム」の挑戦』) アンドン紐のシステムによって、異常がどれほど取るに足りないものであろうと、チームメンバーたちは、その発生時刻、場所、異常の状況を知ることができるようになる。
そうすることで、アンドン紐システムは、TMM−Kと北米の他企業の工場との間にもうひとつの相違点をもたらしている。
TMM−Kでは手直し仕事はまれだということだ。これに対し、北米他社の自動車工場は、数百台分の手直し待ち用の場所を割り当てている。
TMM−Kでは20台から30台分の手直し用区画が確保してあるだけだ。(119ページ『トヨタはなぜ強いのか』)
組み立てラインの台当たり欠陥数は、高岡工場がいちばんよく、0.5件/台(車体、塗装、組み立て、部品の全部を含む)。
組み立てだけの不具合は、0.08件/台。手直しマンは、2名/直。
艤装ラインのボディには作業票が付けられる。
そのクルマに組み付けられる部品が表になって書かれている。
クルマはマス・カスタマイゼンーションとして部品の組み合わせとして組み立てられている。
一方、部品棚には部品番号とともに識別記号が付いている。
作業票には、この識別記号が書かれている。
作業者は作業票に書かれている識別記号を見て部品を選び、組み付ける。
なお、トヨタ九州工場の様子は月刊誌『工場管理』 1996年5月号 『人にやさしい生産方式』の記事の中で紹介されている。
しかし、トヨタ、ホンダ、日産と組立ラインの形状が同じわけではない。
一方、日本企業をみると、例えば本田技研は、統合的な生産思想を持ちながらも、トヨタとは違って1台ロットの「品種の平準化」にはこだわらない独自の組立システムを採用しており、しかもトヨタに比べても遜色のない競争力を誇る。
日産も1990年代末以来、「品種の平準化」と同時に「車体溶接の着工計画(どの車体を何番目に造りはじめるかを指示する生産計画)どおりの順序での最終組立をめざす」、
トヨタとも本田技研ともひと味違う組立方式を模索している(トヨタは順序計画どおりの組立にはこだわってこなかった)。
つまり、組立工程運営の細部をみる限り、トヨタ、本田技研、日産の方針は同一ではない。(360〜1ページ『能力構築競争』)
なお、最近の傾向としてはメインラインが短縮され、サブラインでのサブアセンブリーが増えているという。
パソコン等の家電製品がセル生産方式が主流になっているが、自動車の生産ではまだライン生産方式が主流である。
その最大の原因は、部品の大きさと重さ、種類の多さにあると考えられる。
家電製品のように部品を一ヶ所に集めて組立をするには効率が良くないので、ラインの形に部品を並べ、ライン生産の形をとらざるを得ないと考えられる。
それも単に部品をライン状に並べることができないので、エンジン、アクスル部品、内装部品などを中心に順番納入が行なわれている。
順番納入は、組立ラインをコントロールしているコンピュータソフトALC(Assembly Line Control)によって、ラインに供給すべき部品の種類が指示される。
エンジン等には、順番納入するだけでなく、サブアセンブリーして順番納入するサブラインとして整備されている。
クルマの艤装ラインは、ラインそのものよりも、部品会社から部品を受け取り、順番納入やサブアセンブリーするために使っている工場の敷地面積の方が多い。
同様に、ライン上で作業している人に等しい数の人たちが、順番納入やサブアセンブリー、そのための部品運搬に携わっている。
また最近では、パソコン組立と同様に、誤った部品の取り付けを防止するための機能がALCに組み込まれつつある。
このように生産システムの形態が多様化するなかで、1990年代、一般的に共通な傾向もみられた。
その1つは、メイン組立ラインが短くなったことである。
艤装ラインは、ラインサイドに部品を運ぶ工程と、その部品をボディに取り付けるという2つの工程からできている。
多品種少量生産の艤装ラインでは、部品納入場所の他に部品中間置き場を設けて、クルマがラインに流れる順番に部品をラインサイドまで運んでいる。
その時に、いくらかの部品を組みつけることもある。
また、インストメントパネルのように多くの部品を組付けモジュールとして、ラインに順番納入する方法もある。
艤装ラインは多品種少量生産になればなるほど、順番納入に必要な作業場面積が必要になり、コストも増加する。
多品種少量生産の場合、艤装ラインそのものより、部品を順番に並べるためのエリアが広いこともある。
例えば、タクトタイム1分の新設の乗用車量産ラインは、ここ10数年でおそらく40%ぐらいは短くなったと筆者は推定する。
1980年代であれば200工程ぐらいあった乗用車の1分タクトのラインが、120工程ぐらいになったとの事例がある。実際にはもっと短いラインもある。
メイン組立ラインが短くなるということは、製品構成など他の条件を一定とするなら、ラインに入ってくる部品の点数が減り、部品1個あたりの集成度が高まることを意味する。
つまり、コックピット、ドア、エンジン・トランスミッションなど大物部品の「サブ組立ライン」が長くなることを意味する。
一般に、組立作業のサブ組立ラインへの移管は、作業性の向上、サブラインの自動化、メインラインの作業量差の吸収などのメリットがあるといわれる。(364ページ『能力構築競争』)
艤装工程の生産管理システム
自動車工場では、ボルトやクリップを含めて、軽自動車で約700点、登録車で約900点の部品を取り付けている。
高級車になる程、部品数は増える。
更に、オプションによっても部品数は増えていく。
オプションは高級車になるほど多くなり、増える部品点数も多くなる。
艤装ラインの生産能力は、最大の負荷のかかる車種に合わせて設定せざるを得ない。
同じ艤装ラインを流れるクルマは車種やオプションが異なっても人件費は同じである。
オプション付きとなしのクルマがあったとしよう。
工程設計はオプション付きのクルマに合わせて設計され、オプションなしのクルマが流れる時は、作業者は休んでいる。
つまり、オプションが全くない車の場合、ライン全体に少しずつなにもしない、無駄な時間が散りばめられている。
設備の場合は、オプション付きのクルマ専用の設備があれば、それはオプション付きのクルマのみに原価を配布するのは通常の原価計算と代わりがない。
しかし、オプション車のための設備により、ラインそのものが長くなる費用は全てのクルマに原価を配賦せざるを得ない。
そのためにスループット(艤装ラインに入って終了するまでの時間)が、ながくなるデメリットは金額では表示されない。
そのための対策として行なわれているのが、ラインにかかる負荷を一定に保つことである。
具体的には、同一のラインに流すクルマは、同じクラスの車種に限定することである。
軽自動車と小型車を同一ラインで流さない。小型車と高級車を同じラインに流さないことが重要である。
どうしてもそれらの車種を同一ラインで流す時は、ムダが生じていることを認識しておくことが必要である。
オプション付きとなしの工程差が大きい時は、艤装ラインの前もしくは後で部品を取り付ける方法がある。
これによって、負荷の大きなクルマの負荷を下げて、負荷を平準化することができる。
次の方法として、まずサブアセンブリーがある。
オプション部品をライン外でサブアセンブリーしておき、取り付ける手間を減らしておく方法である。
作業が遅れた時に援助者として入る作業長や作業者が、空いた時間でサブアセンブリーを行なうのが好ましい。
この方法は設計段階でモジュール設計として行なっておく必要がある。
クルマ1台を組立てるのに必要な作業を、可能な程度に分割した時、最小の作業単位を要素作業とよぶ。
要素作業を遂行するのに必要な標準的時間を要素作業時間という。
クルマを組立てるのに、技術的制約から先行関係が存在する。
この先行関係を表したネットワーク図を先行順位図という。
この先行順位図を使用して、複数の要素作業を合わせて、作業者1人ひとりに割り振る。
このことを作業編成(ライン・バランシング)と呼んでいる。
この作業編成による要素作業時間の合計と、有効利用時間の比率をラインの編成効率、またはバランスロスと呼んでいる。
工程全体での負荷は同じでも、車種によって負荷のかかる場所が異なる場合も無駄が生じることになる。
この対策として、先行順位図の共有がある。
生産する車種が異なっても、同じ場所で同じ種類の部品を組み付けられることである。
できれば同じ方法で、同じボルトやネジで留められれば作業者の負荷は減る。
先行順位図も設計で対応しなければ、生産部門での対応は不可能である。
生産部門単独の工夫として、作業が少し遅れても大丈夫なように、各工程で作業域にユトリを設定してある。
作業者としては作業が遅れることは精神的な圧迫を受けるので、いつもはひとつ前の工程まで行って作業している。
艤装ラインに流す車種の平準化を行なっている。
オプションの多いクルマの次には、少ないクルマのようなきめ細かい平準化はできない。
しかし、大数の原理で平準化を行っている。
もともと作業者は、ユトリを持っているので、そのユトリの中で調整を行なっている。
それでも作業が遅れる場合は、次の工程の作業者が“助け合い運動"として助けることになる。
艤装ラインはラインスピード、つまりタクトタイムに合わせて作業内容を変更できるので、タクトタイムが変わっても無駄がないという誤解がある。
艤装ラインは、必ずしもタクトタイムに合わせて作業内容を変更できない面がある。
エンジン等の下回りを取り付ける時には、少なからず部品取り付けのために設備がある。
これら設備は、2人で作業しなければならないとか、3人で作業しなければならないとかが決まっている。
タクトタイムが長くなったからといって、他の作業を追加できる状況にない。
結果として、負荷が最大な時に合わせて人員配置し、タクトタイムが遅くなればそれだけムダが多くなる仕組みになっている。
また、先行順位図があるが、実際の艤装ラインでは脈絡の順番で部品が取り付けられ、あたかも意味があるように勘違いしてしまう。
艤装ラインはコンベアーの種類で、オーバーヘッドコンベアとフロアーコンベアーの2種類ある。
このコンベアーの違いで作業内容が異なってくる。
オーバーヘッドコンベアでは、ブレーキ燃料パイプ、燃料タンク、リアアクスル、フロントアクスル&エンジンとエグゾーストパイプ等が取り付けられる。
タイヤが取り付けられ、フロアーコンベアーに下ろされる。
このコンベアーのつなぎ目、つまりタイヤ取り付けは位置が固定されている。
それに対して、クルマの艤装はモジュール化のサブアセンブリー、装備の増加等によって負荷のかかる場所が変わってきている。
一般的には、タイヤを取り付けた後の艤装が増えている。
そのため、最初のフロアーコンベアーの工程に回したり、オーバーヘッドコンベアーのボディをさげ、フロアーライン同様に部品を取り付けることも行なわれている。
先行順位図は艤装ラインの設備に合わせて、自由がきくように設計されている。
艤装ラインの脈絡なき部品取り付けは、その結果である。
自動車工場の生産管理システムは、ジャスト・イン・タイム(JIT)方式として有名である。
しかし、どのように方法をとっても余分な部品を持てば、必ず無駄が発生する。
これに対する対処法は、生産計画(順序)による生産の徹底である。
自動車工場では、溶接組立、塗装工場での検査や手直しによって生産順序の変更を当たり前として生産計画を立て、実行してきた。
生産順序の変更は、艤装ラインにおいて余分な部品を持たなければならない。
うまく余分な部品を持つことを考えたのが、トヨタ自動車のカンバン方式である。
カンバン方式は、トヨタ自動車の販売状況が反映されている。
トヨタ自動車は、日本の自動車メーカーの中で少量のグレードの車を大量に販売する能力を持っている。
それ以外の自動車メーカーは、MRPによる艤装部品の手配を時間的に手配数量を増やしている。
最近では、生産順序遵守方式がとられることが多くなった。
溶接組立の生産順序そのまま、塗装、艤装を行ない、完成車になる順序にもなる。
この方法を採るには、溶接組立の特別検査や手直し、塗装での手直しをなくさなくてはならない。
溶接組立後と艤装ラインの前にボディストックがあり、順序を整えている。
それを行っても、非常に難しいハードルである。
以前は、おおまかな部品管理を行なっていた。
最近では、生産順序に合っていないボディの部品を特別管理するようになっている。
最近少なくなっているが、ツートンカラーの場合は上塗り塗装ラインを2回通さなければならない。
その分、生産順序が変わってしまう。
1日ごと生産計画を立っているので、ツートンカラーのボディの溶接組立時間を早めるには限界がある。
平準化生産は、塗装済ボディのストレッジライン制御で行なわれる。
まず全行程である塗装工場からこのストアレッジ(塗装済みボディ)に入庫する車両の情報を使って、
これを制御しているのがALC(Assembly Line Control)で、艤装ラインに流れるクルマの前の作業指示書も打ち出している。
ライン作業者はこの作業指示書を見て部品を取り付ける。
最後に、同期生産方式は、車を生産する順番によって部品を供給する方法である。
フロントアクスル&エンジン、リアアクスル、インパネやドアライン等、ALCの指示によって生産し、艤装ラインに供給する方法がある。
艤装ラインそのものの平準化と同様に、サブラインでも工程時間のバラツキを吸収するメリットがある。
サブアセンブリーなしで生産順に部品を供給する、順序納入という方法がある。
部品形状が大きくなつてきたため、ラインサイドに置き場がとれないために行なう方法である。
納入された部品を順序納入場に運び、更に順序供給の部品を更に艤装ラインに運ぶので工数そのものにメリットががあるかどうかは疑問である。
艤装ラインには複数の部品を数を合わせ、決まった時間に運ぶのでサイクリック供給とも呼ばれている。
前述したように、ハーバー社が行なった工場の生産性は、作るクルマによる差が大きい。
軽自動車や小型車を主に作っている工場では、作業工数が少ないので生産性がよくなって当然である。
ハーバー社の生産性の指標は、アメリカの企業に対して頑張れと応援が第一の目的であった。
工場間で比較することには、意味がなかった。
同じ工場で生産性が向上しているかどうかをモニターするためのものであった。
艤装ラインを流れる車種は日々変わり、作業者の習熟度は個人によって差がある。
そのため、IEを使った作業者ごとに決めたラインバランスなど役にたたない。
決めた時から大きく変わり始めている。
その時々の作業者の負荷の状況を見ながら、作業長等が弾力的に作業内容を入れ替える方がマトを得ている。
また、生産性を大きく左右するのは作業者の熟練ではなく、よく考えられた設計である。
内装部品などは、あらかじめクリップが付いており、はめ込むだけで取り付けられる部品もある。
日本車の生産性の高さのかなりの部分は、こうした設計の合理化によってもたらされたものである。
部品手配等については、生産管理講座の各ページを参照してください。
また、道具や部品を積んだ台車がラインといっしょに動く同期台車や、作業者の歩く距離を縮めるために、台車の上に人が乗って動くステップ式台車なども利用されている。
最近では、艤装方法はデジタル・モックアップにより、事前問題点を洗い出し及しつつある。
試作車を実際の艤装ラインに流す前に、実際のラインとは別にミニのラインを作り、クルマの組立型や、部品の配置方法を事前に研究している。
その後は、組立作業の習熟に使用される。
最後に、トヨタ自動車ではライン上で問題が発生するとラインを止めて、問題解決を行なう。
これは品質問題に限らず、工場運営上も大きなメリットがある。
ライン上で問題が発生しても、ラインを止めず、後で手直しする方法は外から見ている限り、良いラインのように見える。
しかし、問題が発生した時の手直し、部品運搬等の作業者を多く抱えなければならない。
問題が発生するのは時たまであり、その時たまのために多くの作業者がいるのはムダである。
自動車会社でほんとうに価値を生み出しているのは、生産ラインの作業者だけである。
その生産ラインには余裕がなく、価値を生み出していない手直し、部品運搬等作業者に過剰能力、過剰人員が存在するのは本末転倒である。
問題が発生するとラインを止めるのは、工場の人員を少なく保つ定石であろう。
ライン中心の自動車工場が本来の姿であり、品質も高く、コストも低い製品を生産できる。
艤装ラインの工夫
1.ドアレスライン
艤装ラインにはドアを外し、内装トリムやシートの取り付けをやりやすくしたドアレスラインが主流となっている。
ドアレスラインはシート等の大型部品の室内への搬入が便利である。
このラインでは取り外されたドアは別の場所で、トリム等の組付けを、ボディへの組付けと同時に行えるメリットがある。
日産九州工場の艤装ラインを始め、多くの工場がドアレスラインを採用している。
最近では、ドアモジュールというものも出てきている。
詳しくはスペシャルレポートの 部品のモジュール化 を参考にして下さい。
2.バイパス工程
出現率が低く、組付け工数の比較的長い車が流れてきた場合、それを別のバイパスラインを流すという方法である。
バイパスには艤装ラインの頭に近い辺りでもうける『前バイパス』と、艤装ラインの後ろに近い辺りで設ける『後ろバイパス』とがある。
これによって、艤装ラインの完成車投入順序を維持させるのに役立つ。
3.サブアセンブリー ストリームは、三列シートでサンルーフが付き、しかもABS付き、と装備の多いクルマだった。
仕様かシンプルなクルマはメインラインでそのまま作り、それ以外はサブラインを作って、そこで事前に部品を組むなどしてカバーする方法をとった。(95〜97ページ『トヨタとホンダ』)
工場内で行われているサブアセンブリーには、艤装ラインに流れる順番に供給する順番納入と、ただ単にラインサイドでサブアセンブリーするものがある。
順番供給するサブアセンブリーにはエンジン・ミッションを結合させたり、バンパーやインパネのサブアセンブリーがある。
エンジン・ミッションの結合はドレスアップと呼ばれている。
この工程ではエアコンポンプやパワーステアリングポンプ等も取り付ける。
それ以外に、ドライブシャフトやフロント・リヤアクスル等の重量部品を扱う。
この工程ではエンジン・ミッションを仕分けして一時保管するエリアが必要であり、部品納入しやすい工場の端の部分で行われることが多い。
4.艤装ラインの自動化
上の工程図のユニットマウント自動化工程は、エンジン・ミッションの他にアクスル・サスペンション等のサブアセンブリー(ユニット化)を行い、ボディにロボットを使い取り付けている。
FF車の場合には、1970年頃よりエンジン・ミッションとストラットタイプのサスペンションを一体モジュールとして組付けていた。
また、部品が大型化や種類の増加により、ラインサイドに置けない場合には、サブアセンブリーなしの順番供給することもある。
これらのサブ・アセンブリーは、車に取り付ける部品が増加してきて、艤装ラインから溢れた工程をライン外で組み立てている。
このことにより、艤装ライン自体の投資を減らし、スループット時間を短縮させる。
1980年代始めには、日本自動車会社のコスト競争力の要因のひとつであった。
しかし、現在では欧米自動車会社が戦略的なサブアセンブリーを行い、モジュール化が進んでいると言われている。
なお、部品のモジュール化については、スペシャルレポートの 部品のモジュール化 を参考にして下さい。
1980年代には、艤装ラインのロボットによる自動化はどの工場も20%程度が上限であると言われていた。
主な理由は、柔軟に対応可能な人による作業をロボットに置き換えるには費用がかかりすぎる。
自動車の仕向けやオプション部品によって、いく通りも作業方法を変えなければならないからである。
しかしながら、2000年代に事態は一転し、自動化が廃止されつつある。
1980年代に行なわれた自動化競争によって、採算を考えず自動化が進められたと考えられる。
自動化を行なって作業員の人件費を節約しても、機械のオペレーターを付けなくてはならない。
ちょっとしたボディのズレによって、ロボットが停止してしまい、これに対処しなくてはならない。
ロボットの取り付けがうまくいかなかった時、バツクアップの方法を考えなくてはならない。
また、多関節ロボットの自動化では、人とロボットの作業を分離せざるを得なく、自動化のスペースに人が入れないように柵をして分離しなければならない。
更に、車のフルモデルチェンジやオプション部品の追加等の切り替え性能に問題があるためである。
このような切り替え時には、ロボットにティーチングの作業しなくてはならない。この作業に時間(費用)がかかる。
部品の構造そのものが変わってしまうと、自動化の設備そのものを変えなくてはならなくなった。
これからは人の作業を機械が補助する装置を利用する方向に進んでいる。
例えば、ラクラクハンド等のエアーバランサーが、ドアの取り外し、ドアの取り付け、インパネの取り付け、シートの取り付け等に使われている。
このような装置は費用も安く、保全コストもあまりかからないためである。
多関節ロボツトが使われているのは、ガラスに接着剤を塗布し、ボディに取り付ける工程は多く使われているのみとなっている。
1980年代の多関節ロボットによる自動化は、小学生の見学者には喜ばれたが、設備の減価償却が終るとともに撤去されているのが現状である。
100%近い自動化の進んだ車両工場と塗装工場のように設備集約的な職場と異なり、艤装ラインはこれからも、労働集約的な職場が続くであろう。
1980年代、ヨーロッパでは組立自動化が積極的に進められた。
日本でも1990年前後に、バブル経済期の採用難を背景として、作業負荷軽減を目的とした組立自動化が指向された。
しかし、1990年代に入ると、ヨーロッパではむしろ組立脱自動化(de-automation)の動きが明らかになり、また日本でも、先端技術を使わぬ安上がりの自動化(ローコスト・オペレーション)への回帰がみられた。
これに伴い、少なくとも組立自動化率をこれまで以上に大幅に高めていこうという動きは、1990年代後半には影を潜めた。
21世紀初めの最初の四半世紀においても、最終組立の自動化率が(いかなる定義であれ)20%を超えるような組立工程が一般化することはないだろう。
理由はかなりはっきりしている。
まず、重く、大きく、特殊設計部品が多く、自由曲面が多く、組みつけ方向が変則的で、柔らかい部品も多いなど、自動車(特にモノコック構造のセダン)の最終組立は、そもそも自動組立が難しい。
無理に自動化率を高めようとすると、複雑なロボットや治具が必要となり、採算が合わなくなる。
よほど保全能力を高めぬ限り、故障によるラインの停止時間(ダウンタイム)も増加し、コストを圧迫する。(371〜2ページ『能力構築競争』)
テスト工程
テスト工程は、顧客に品質保証を行うための最終検査工程の一部である。
型式認証とは、この自動車工場で行われる最終検査によって、各国の陸運事務所で登録を受ける時の車両検査の一部が免除される各国認証のことをいう。
出荷
最終検査を終わった車は、仕向け地によってラップフイルム等で梱包される。
国内向けは、半分弱程度が積車による陸送が行われ、自動車専用船で運搬される。
輸出は当然、自動車専用船によって輸送され、アメリカ大陸内では鉄道、ヨーロッパ内部では運河を利用することも多い。
プラスチック部品
バンパーやインパネはプラスチックの射出形成によって生産されている。
一般に用いられているプラスチック樹脂は約250゜Cに加熱して溶かし、これを金型内に高圧で注入する。
最近ではリサイクルのことを考慮して、ポリプロピレンが多くなった。
プラスチックの射出成形用の金型を造っている会社
自動車のプラスチック部品に関するポームページ
品質保証
品質保証活動は車の企画・開発から始まり、量産が始まった後完成検査の終った車を、品質監査する総合的な活動である。
自動車の品質調査で有名なのが、J.D.Power社とAuto Pacific社である。
JDパワー社が自動車について調査・公表している代表的な指標は、次の5つである。
(268〜269ページ『トヨタ経営システムの研究』)
消費者が車両を購入してから90日経過後に、いくつかの不具合や不都合などの品質問題を経験したかを、車両100台当たりの問題発生件数で示した指標をいう。
日本語では『初期品質』という。
消費者が車両を購入後4〜5年間に、いくつの不具合や不都合などの品質問題を経験したかを、車両100台当たりの問題発生件数で示した指標をいう。
日本語では『耐久品質』という。
消費者が車両を購入してから90日経過後に、車両のデザイン・スタイルのユニーク性、車両の乗り心地とハンドリング、エンジン・トランスミッションの諸性能、快適性と利便性などについてどれだけ満足しているかをアンケート調査し、100台当たりの特典数を示した指標をいう。
日本語では『魅力的品質』という。
消費者が車両を販売店から購入したとき、販売店での購入処理作業、販売店員の態度、納車と販売後のフォロー、価格評価、及び、融資や保険のプロセスなどを消費者にアンケート調査し、統計的処理を施して、販売に対する顧客の満足度を示した指標をいう。
日本語では『販売満足度』という。
消費者が車両を購入後3年間に、販売店のサービス部門の接客態度や修理及び保証体験を評価したデータを統計的に処理して、販売店のサービス状態への満足度を算出した指標である。
この指標は、作業日数・時間、サービス区域及び予約日程の確保のしやすさ、などのような利便性項目に焦点を当てている。
日本語では、『顧客満足度』という。
参考ホームページ
脱コンベアのチーム組立て方式
ずっと以前にボルボのカルマー工場で、フォードがT型フォードで創設したベルトコンベア方式を打ち砕いたチーム生産方式を実施した。
カルマー工場では、ベルトコンベアを廃しして、チームで定置組立てを行った。
ベルトコンベアー方式では作業員の『やる気』を喪失し、欠勤率が高くなっていた。
その対策としてチーム生産方式を考えたのであった。
OECD(経済協力開発機構)を始めとして、カルマー工場の『脱ベルトコンベアー方式』を絶賛した。
しかし、実態は生産性が大幅に低下したため、『脱ベルトコンベアー方式』は廃止され、カルマー工場自体も閉鎖されていると聞いている。
他方、20世紀後半の欧州において「人間尊重の生産(組立)工程への取り組み」として注目されてきたのは、スウェーデンのボルボ社などによる「脱組立ライン=ボルボ方式」であった。
タクトタイムの短い移動式組立ラインを非人間的だと否定するこの方式では、例えば2人ひと組で、ブース内に定置された車体に、数時間かけて全部品を取りつける。
1台分に必要な部品1式(キット)は、作業者自身が部品倉庫に取りに行くか、あるいは部品選択(ピッキング)の作業を分離して部品選択専門の作業者に持ってきてもらう。
もっとも、個々の作業はある程度標準化されている。
この方式は1990年ごろ、ボルボのウッデバラ工場で施行され有名になった。
こうした脱フォード・脱トヨタ的な定置組立方式は、競争力、特に生産性の面で限界があったといわれ、結局、ボルボ社がこの方式を全社に普及させることはなかった。
ウッデバラ工場も売却された。
しかし、1990年代後半の時点でも、組立工数のばらつきが非常に大きい一部の特殊車両、例えば特殊な大型トラックの工場(ボルボ・トラック社)や、警察車両・リムジンなどの組立工場(ボルボ・カー社)では、依然としてこの方法が使われている。
また、フォードシステム以前の、標準作業をせず熟練工の技量に頼る「職人的生産方式」も、一部のごく少量生産の高級車の組立ラインや試作工場には残っている。(361〜2ページ『能力構築競争』) また、トヨタ系の委託組立メーカーである関東自動車工業(内川晋社長。2003年現在)の東富士工場では、月産数10台ときわめて少量生産の高級乗用車(センチュリー)を組み立てるために、10工程もない短い組立ラインが稼動しており、
熟練組立工2人がペアを組んで車体について歩き、数時間で1台丸ごと組み立てている。
ここには、職人的生産の色彩が色濃く残っている。(363ページ『能力構築競争』)
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