6.エンジンについて

(1)エンジンの構造

シリンダーブロックは、シリンダー部分と、クランクシャフトが回転するスカート部に分かれている。

エンジンで重要な概念にボア、ストロークとシリンダーピッチがある。ボアはシリンダーの内径、ストロークはピストンが往復する距離である。一般的に、4気筒のエンジンでは、ボアよりストロークが少し長い。6気筒エンジンの場合は逆にボアよりストロークが少し短い。

シリンダーブロックには、排気量が異なる一連のシリーズがある。67ミリ程度のシリンダー壁を接する状態か、共有させることによって、ボアを67ミリ程度変えることができ、これとストロークの長さを変えることによって排気量の違うエンジンが開発できる。鋳造の時点で、シリンダーの形状を変えている。

ストロークの長さによって、クランクシャフトのアームの長さが決まり、クランクシャフトが入るようにシリンダーブロックのスカート部の大きさが決まる。

シリンダーピッチが同じ長さならば、シリンダーブロック、クランクシャフト、シリンダーヘッドの機械加工の設備を共有することができる。それらは、NC機械20数台をトランスファーでつないである。エンジンの一世代の長さは1220年と長く、それらの工作機械の寿命に相当している。

なお、シリンダーピッチが長くなるほど、クランクシャフトに強度と剛性が要求される。エンジンシリーズの中でボアが小さく作られたエンジンは、コスト面で不利である。


(
)直4、V6、V8等エンジンについて

多くのクルマに搭載されているエンジンは、4気筒(直4)エンジンである。ピストンが2往復することによって、4つのシリンダー内で爆発するサイクルを持っている。つまり、クランクシャフトが180°回転することにシリンダー内で爆発を繰り返していることになる。そのため、直4エンジンのクランクシャフトは、平面的な形となっている。この形状のため、プレスと呼ばれる鍛造機械で作られることが一般的である。

軽自動車のエンジンは4気筒のエンジンも使われたが、振動解析が進み、コスト低減のために3気筒が主流になっている。1サイクルの中で、3回爆発することになる。つまり、クランクシャフトが240°回転する毎に1回爆発する。クランクシャフトの形状は、Y型となる。プレスと呼ばれる鍛造機械では成型できないため、ハンマーという鍛造機械を使うことになる。軽自動車の一部では、鋳造のクランクシャフトも使われ、コストを抑えている。

なお、1000ccのエンジンでは、3気筒のエンジンが使われることが増えている。ヴィッツでは発売当初4気筒の1000ccエンジンが搭載されていたが、今では3気筒エンジンに置き換えられている。

1000cc3気筒エンジンは、1300cc程度の4気筒エンジンを3気筒化することによって、生産コストを抑えている。

V6エンジンは、1サイクルで6回爆発を繰り返す。クランクシャフトが120°回転する度に1回爆発する。直6エンジンでは、クランクシャフトはY字をしている。V6エンジンでも左右のシリンダーの角度を120°にすれば、クランクシャフトの形状はY型になる。しかし、一般的にV6エンジンは、左右のシリンダーの角度を60°にしている。この角度はクランクシャフトが120°回転する毎に1回爆発するのに対応している。この場合、クランクシャフトの形状は*のようになる。左右のシリンダーを交互に爆発させている。

V6エンジンはクランクシャフトのアームが回転できるよう、左右のシリンダーが少しずれて配置されている。でも、直6エンジンに比べて、V6エンジンは幅を半分近くに減らし、エンジンをコンパクトにできる。このことによって、クランクシャフトの長さを短くできる。それによってクランクシャフトを軽量化でき、振動も軽減できる。

シリンダーの角度が180°になったエンジンが、水平対抗エンジンである。富士重工が生産している。120°+60°=180°ということになり、クランクシャフトの形状は、V6エンジンと同じ*型になる。ただ、シリンダー部分が水平になっているので、冷却水の廻し方を変えなければ、シリンダー上部が加熱してしまうため、シリンダーブロックの形状は他のエンジンとは異なる。

V8エンジンでは、1サイクルで8回爆発を繰り返し、クランクシャフトが90°回転する毎に1回爆発する。それに対応する形でシリンダーのバンク角は90°になっている。乗用車の場合、クランクシャフトは+字の形になっている。この場合、左右のシリンダーが相互に爆発するわけではない。

左右のシリンダーが相互に爆発すると、クランクシャフトは平面になり、構造は簡単になるが、振動対策が難しくなる。

日産自動車ではQRというV4エンジンがある。V8エンジンを半分にしたような形状を持っているものと考えられる。シリンダーのバンク角は90°、クランクシャフトは+字の形になっている。

シリンダーのバンク角を180°にすると、富士重工の4気筒の水平対抗エンジンになる。クランクシャフトは直4と同じに平面的になる。

 

()低速型、高速型エンジン

フライホイールはエンジンをスムーズに回転させるために必要である。エンジンは爆発した時に大きな力を発生する。回転をなめらかにするための弾み車がフライホイールである。高速型のエンジンと比較して、低速型のエンジンほどより重いフライホイールが必要になる。フライホイールは、その慣性モーメントが大きいほど(重いほど)、蓄えられるエネルギーも大きくなり、トルク変動も少なくなる。その反面、慣性モーメントが大きくなると、回転に要するエネルギーが増え、加速時のエンジンの応答性が悪い。つまり、エンジンの回転数の上がり方が遅くなる。

軽自動車の場合、三菱が低速、ホンダとスズキが高速型エンジンになっているので、比較してみた。ミッション、最終減速比を変えることで、エンジンのどの回転数を主に使うかが決まってくる。このことによって、運転性能が決まってくる。お客様の好みなので、低速型と高速型のどちらが良いとは評価できない。

 

 

三菱Ek-ワゴン

スズキワゴン

エンジン型式

(ボア×ストローク)

4G83(657cc)

65.0×66.0

K6A(658cc)

(68.0×60.4)

MTミッション

1速

2速

3速

4速

5速

後退

 

3.545<19.359>

2.055<11.222>

1.391<7.596>

0.964<5.264>

0.781<4.265>

3.500<19.114>

 

3.384<17.986>

2.055<10.922>

1.280<6.803>

0.892<4.741>

0.718<3.816>

3.272<17.391>

最終減速比

5.461

5.315

 

実際の減速比は、 (ミッションの減速比)×(最終減速比)であり、< >で示している。高速型エンジンは、低速型エンジンに対して、実際の減速比が低く設定されていて、エンジンをより高回転で使用するように設定されている。エンジンのみを変えるのではなく、エンジン、変速機、最終減速比を調整することによって、エンジンの効率の良い部分を使用し、走りのテーストが決まってくる。燃費は、同じ仕事量をしていれば、基本的には同じであり、エンジンの効率の良い部分を使用しているかで違いが出る。


三菱自動車のエンジンとシリンダーピッチ


三菱自動車のエンジンとシリンダーピッチ(つづき)


 

 

 

現代自動車のエンジンシリーズ


 

 

 

トヨタ自動車とダイハツのエンジンシリーズ


 

 

 

日産自動車のエンジンシリーズ


 

 

 

ホンダのエンジンシリーズ


 

 

マツダのエンジンシリーズ


 

 

 

スズキのエンジンシリーズ


 

 

 

いすゞのエンジンシリーズ


(4)エンジンの仕組みについて

ロングストロークのエンジンはトルクがあるが、回転数があがらないと言われている。これはボアが小さく、吸気・排気バルブの径が小さいため、吸気・排気の効率が悪いためである。その代わりストロークが長く、1回の燃焼でピストンを押す時間が長くトルク(カタログ上のトルクとは少し違う)があると感じる。

逆に、ショートストロークのエンジンは、低速回転では回転が不安定になりやすいと言われている。

6気筒エンジンは、シリンダー数が6に増え、

エンジンの燃焼には2つの特徴がある。

@       一定の空燃比で燃焼させている。

A       一定の温度で燃焼させている。

エアフローメータで吸入空気量、水温センサで冷却水温度、O2センサで排気管内の酸素濃度、スロットルポジションセンサで絞り弁の開度を検出し、そのデータをコントロールユニットへ信号として送ると、インジェクタから適正量の燃料を吸気マニホールドへ噴射する。

エンジンを一定の温度に保つため、シリンダー部とシリンダーヘッド部を冷却している。冷却水はウォーターポンプで強制的に循環させている。冷却水の水温は、始動時等のエンジンが冷えた状態では、エンジン内のみを循環させ、温度が上昇してくるとサーモスタットによってラジエターを巡回させている。

エンジンオイルはオイルポンプで強制的にカムシャフト部とクランクシャフト部に送っている。カムシャフト部にはシリンダーブロックとシリンダーヘッド内の穴を通してオイルが送り込まれる。カムシャフト内部の空洞を伝って軸受け部にオイルが供給される。最後は、別の穴を通ってオイルパンに戻ってくる。

クランクシャフトへはシリンダーブロックの軸受け部分から、クランクシャフト内部に空けられた穴を通って、アームの部分にエンジンオイルが供給される。

アームの部分とピストンをつないでいるのがコンロットである。修理等でコンロットを交換する時は、削り代の部分を削って重さを揃える。工場では、ひとつずつ重さを量り、等級分けし、重さを揃えている。アームに送り込まれたエンジンオイルは、コンロットのアーム取り付け部分の溝によって、シリンダー部分にオイルを吹き付ける仕組みとなっている。

クランクシャフト回転しアームが上部に差し掛かった時、シリンダーブロックとクランクシャフトのオイル穴が通じ、ピストンが上部に上がった時点でオイルが吹き付けられる仕組みになっている。

 

@クランクシャフト・ポジション・センサー

クランクシャフトの回転数および位置を検出するセンサで、燃料噴射時期と点火時期を調整するセンサである。磁性体ローターと電磁ピックアップによって検出する。

最近では、クランクシャフト・ポジション・センサーの信号によって、コンピュータが点火時期を指示しイグナイターに送り、エンジン上部の電磁コイルを使い、スパークプラグを点火させる。

Aカムポジションセンサー

クランクシャフト・ポジション・センサーと同様に、カムシャフトの位置を検出するセンサで、クランクシャフト・ポジション・センサーを補完しながら、点火時期を調節している。

BEGR

排気ガス還流制御弁とも呼ばれている。エンジンの排気ガスの一部をインテークマニホールドを通し、シリンダー内に戻すことによって、燃焼室内の酸素濃度を下げて、燃焼温度を下げる。それによって、排気ガスに含まれるNOxを減らす役割をしている。マニホールドの負圧を利用して弁を動かす。

Cノックセンサ

ノッキングは、燃焼室の周辺ガスが燃焼伝播によらず、爆発的に自然発火によって生じる。住宅火災等のバツクファイヤーに似たものである。爆発によって衝撃波が生じ、エンジンを傷める。

ノックセンサは、シリンターブロック横に締め付けられている。ノッキングによって生じる振動を検知する。ノッキングを検知すると、コンピュータが点火タイミングを遅らせることによって、燃焼温度を下げ、ノッキングを減らす。その結果、エンジンパワーは低下することになる。

なお、エンジン音は、ドドドドドッと音がすると力強い音のように感じるが、ノッキングに近い現象が起きている。実際には、エンジンは軽い音がする方が良い。

DO2センサ

2センサはジルゴニア合金を使っていることが多い。O2センサは排気ガス中の酸素濃度を検出する装置で、空気/燃料比を間接的に測定する手段として利用されている。排気ガス中の酸素分圧が低い時には1V弱、高いときには約0Vを出力する。

2センサは温度が高くないと作動しないので、エンゾーストマニホールド上部に付けられることが多い。アイドリング程度の低い排ガス温度では作動しなくなってしまうこともある。酸素濃度が高いと感じ、ECUが燃料の増量を行い、いわゆる燃料をかぶった状態になる。この結果、発信時にスムーズに行かず、ヘジテート状態になることもある。