安全について
人とクルマが共生(コンパティビリティ)していくために、なくてはならない技術が安全の技術であり、環境対策の技術である。
これらの技術なくして21世紀のクルマの進歩はない。ここではクルマの安全について述べる。
公共機関、自動車メーカーの安全に関するホームページは次のとおりです。
クルマの安全について個人のホームページも充実したものが幾つかある。
アクティブ・セーフティ
クルマの安全のひとつは、避けられない事故に遭遇した時、衝突エネルギーが乗員に与える傷害をいかに少なくできるかというパッシブ・セィフティ(衝突安全)である。
もうひとつは事故に遭遇しない、事故を未然に防ぐアクティブ・セーフティ(予防安全)である。
パッシブ・セーフティとアクテイブ・セーフティが程良く調和したクルマが望ましい。
アクティブ・セーフティの中で代表的なものが、ABS(アンチ・ロックブレーキ・システム)である。
緊急時ブレーキでタイヤがロックを防ぐ装置で、クルマの方向性を確保することによって、事故を未然に防ぐ効果があるという。
1980年代に入り、エレクトロニクス技術の発展によって、ABSはデジタル制御になった。
しかし、ABSがいくら発達しても、危険に直面した緊急時でも最大限のブレーキを踏む事ができるのは限られている。
緊急時に誰でも最大限のブレーキをかけることのできる装置として、BAが登場した。
パニック時には軽い踏力でも限界の制御力が得られ、ABSが即座に作動できるようになった。
なお、トヨタは1999年にダイムラー・クライスラー社よりブレーキ・アシストの特許の供与を受けている。
アクテイブ・セーフティの最終形として、限界走行における自動安定装置として、ESP(電子制御スタビリティ・プログラム)がある。
四輪のブレーキを個々に自動的に使用することで方向性や安定性をコンピュータで自動的に制御しようとするものである。
つまり、クルマがスピンする方向に回転するヨーモーメントをコントロールし、自動的にブレーキが作用して安定方向にクルマをコントロールする。
ESPは1995年にベンツが世界始めて採用した。その後、世界の主要メーカーが採用している。
ヨーロッパメーカーの採用しているESPはドイツの部品メーカーのボッシュがユニットとして採用している。
ABSにしろ、BAにしろ、ESPにしても基本となるサスペンス機能、ブレーキ機能、タイヤ機能が劣っていては、その機能を十分には発揮できない。
ボッシュは今年、日本のブレーキメーカーを買収してESPの事業を、クルマの制御系全体に広げたユニットとしての事業を開始する予定である。
タイヤメーカーのブリジストンも曙ブレーキに出資し、カヤバ工業にも出資予定と伝えられている。
将来のクルマの足回り機能のモジュール化を視野に入れたものである。
ITS
また、予防安全の中に情報制御による安全技術があり、ITS(インテリジェント・トランスポート・システム)と呼ばれている。
ITSは1970年代に日米欧で研究され始めた経路誘導システムで、交通管理、情報提供、走行制御、物流管理、公共管理などを総合的に管理する道路交通システムである。
事故や渋滞、環境汚染問題などを解決することを目的としている。
日本のITSは、建設省、警察庁、通商産業省、運輸省、郵政省の5省庁が5省庁連絡会議で連携し、1996年7月に5省庁が協力して、「高度道路交通システム(ITS)推進に関する全体構想」を策定した。
また日本の社会全体の情報化を進める「高度情報通信社会推進本部」との連携も視野に入れて推進しています。
「ITS推進に関する全体構想」では、9つの開発分野を決めている。
- ナビゲーションシステムの高度化
- 自動料金収受システム(ノンストップ自動料金収受システム:ETC)
- 安全運転の支援
- 交通管理の最適化
- 道路管理の効率化
- 公共交通の支援
- 商用車の効率化
- 歩行者等の支援
- 緊急車両の運行支援
参考ホームページ
ナビゲーションシステムの高度化
ナビゲーションは地図情報とGPSと呼ばれる衛星からの情報に基づいて位置を割り出している。
ナビゲーションシステムは、リアルタイムで道路交通情報を提供するVICSの機能を取り入れている。
道路上の発信機から車載のナビゲーションシステムで情報を受け取り、空いている道に誘導したり、事故などの渋滞路回避や駐車場の空き情報などに利用されている。
今後、建設省によりVICSの発信機(ビーコン)の設置場所が順次拡充される予定である。
その一方で、自動車メーカー各社は携帯電話によるインターネットを使用したサービスを始めている。
トヨタのモネ、本田技研のインターナビ、日産自動車等のコンパスリンクがあった。
現在では、テレマティクスサービスと呼ばれている。
トヨタのG-Bookが先行している。富士重もG-Bookの採用を決めている。
日産は2002年3月に、カーウィングス(CAREINGS)としてサービスを開始した。スズキはカーウィングスを利用する。
自動車メーカーはナビゲーションのGPSを使った位置割り出し機能と携帯電話による『24時間緊急サービス』を近々始める予定である。
上記のようなクルマにインターネット機能と緊急通報サービス等のマルチメディア機能を持ったクルマをe−Vehicleと呼んでいる。
GMは2000年よりアメリカで、このような機能を持ったクルマを販売し、Onstarというサービスを開始している。
また、緊急通報サービス以外にも、GPSの位置割り出し機能と、NTTドコモのパケット通信サービス『DoPa』を利用した車両の動態管理システムの開発されている。
このシステムを利用すると、管理対象としている車両をリアルタイムに現在位置を3秒のサイクルで確認できる。
また、予め積載荷物や空き情報をインプットしておけば、納品状況が把握できるだけでなく、希望する車両が使えるようになるシステム開発も行われている。
自動料金収受システム(ノンストップ自動料金収受システム:ETC)
日本の高速道路で渋滞が頻発する場所は、ザグ(下り坂から上り坂に変わる場所)、トンネルと料金所である。
自動料金収受システムは料金所での渋滞を解消する目的で行われている。
官(建設省)で料金所の社外のアンテナ等の設備は作る。一方、車載のユニットと、これに使用するICカードの開発は民間に任せる。
車載ユニットは3万円位になるが、これはユーザー負担となる。現在の段階で料金所の渋滞は解消できるが、料金を支払うだけの目的で車載ユニットを購入するとは考えにくい。
車載ユニットとICカードは民間の技術とアイデアを使い、多目的の機能を持ったユニットとICカードを開発が期待されている。
当初、自動料金収受システムを利用するのは、大部分がトラックになるものと予想されている。
ETCは約1年間におよぶテスト期間を経て、3月末から千葉、沖縄県などを皮切りに本格的なサービス開始になった。
国土交通省によると、2002年までに全国の約900の料金所に設置される。
安全運転の支援
安全運転の支援には、AHS(走行支援道路システム)等による危険警告・自動運転等がある。
AHSを実現するには、
- 道路交通環境(他の車両、障害物、路面状況および走行車両位置)を認知するシステム
- 周囲の状況を判断して車両を誘導する制御機能
- 情報通信機能などの道路側インフラ機能
が必要となる。
この走行支援道路システムに関して、車両側のシステム単独で使用できるシステムが開発されている。
1996年9月に上信越自動車道小諸IC−東部湯の丸IC間の共用前の道路を利用して、走行実験を行った。
スマートウェイ/知能道路計画
スマートウェイには、2つの社会インフラとしての機能を有している。
第一は、車やドライバー、歩行者等多様な利用者との間で様々な情報のやりとりを可能にする道路であり、利用者の安全性や利便性の向上、円滑な交通の確保による環境保全等の多様なITSサービス展開の基盤である。
具体的には、スマートウェイは道路とクルマの通信システム、センサー、光ファイバーネットワーク等の必要な施設が組み込まれている道路であり、かつこれら施設をITSの多様なサービスの提供に活用できる仕組みを統合的に備えている道路である。
第二は、各種情報の自由なやりとりを支えるオープンなプラットホーム(共通基盤)として、幅広く提供される光ファイバー網である。
21世紀の高度情報化社会をにらんだ情報ハイウェーとしての光ファイバー網である。
最近、クルマだけのシステムとして車間制御システムを備えたクルマが発売され出した。
ITS地区実験
1998年にITS地区実験構想に基づいてITS地区実験候補地として、全国5地区(豊田市、高知県、警視庁、岐阜県、岡山県)を選出した。
日本のITSに関する情報を提供しているのは下のホームページです。
各国のITSを推進している機関は下記のとおりです。
ASV
1971年にアメリカで始まった実験安全車(ESV)は、日本ではITSのクルマ側の技術としてASV(先進的な自動車開発事業)となった。
1991年から95年にかけて、運輸省の音頭で進められた第一期の先進安全自動車ASV(アドバンスト・セイフティ・ビークル)によって、安全にかんする新たな技術やシステムが提起されている。
その特徴は、従来の安全対策に加えて、近年、急速な進歩をみせるエレクトロニクス技術をふんだんに採用したハイテク化、インテリジェント化が進んでいることだ。
運輸省、乗用車メーカー9社、財団法人の日本自動車研究所、学識経験者からなるASV推進検討会で、ASVの仕様の調査・研究が進められた。
主な目標は、予防安全、事故回避、衝突時の被害軽減、衝突後の災害拡大の防止の4項目からなっていた。
そして、1997年4月末、運輸省は安全技術の開発計画のガイドラインとなる第二期先進安全自動車(ASV)開発推進計画の概要を発表した。
先の第一期に引き続き、予防対策や事故回避など6分野の実用化を目指すものである。
このガイドラインに沿って、トヨタや日産、三菱などが2000年に向けた独自の安全技術の開発計画概容をまとめ、発表した。(351〜352ページ『トヨタvs.ベンツvs.ホンダ』)
参考文献
自動車工場の概要,
車体工場,
塗装工場,
艤装工場,
部品納入,
エンジン工場等,
新車開発概論,
新車開発(デザイン決定まで),
新車開発(デザイン決定以後),
プラットホームの統一について,
開発センター,
開発主査(チーフエンジニア),
クルマの安全問題について,
クルマの安全問題(衝突実験),
クルマの環境問題T,
クルマの環境問題U,
燃料電池自動車,
電気自動車,
リサイクル,
欧州の自動車リサイクルについて
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