クルマの環境問題について

環境問題


 人が行う生活行動や企業が行なう経済活動のあらゆる面で“環境”に係っている。 企業そのものも環境問題を避けて通れなくなった。基本的に企業活動には環境破壊・汚染がともなう。 しかし、『公害企業』というレッテルを貼られれば、イメージダウンばかりでなく、製品の売れ行きにも響く。
 更に現在では、『グリーンコンシューマー』と呼ばれる消費者層の登場である。 『環境に優しそうと考えて商品を購入することがある』『環境対策を積極的に行なうメーカーの製品を購入する』消費者が増えている。

地球上の環境は2つの意味で有限である。

  1. 原材料確保先として環境を考えた場合の“資源・エネルギーの有限”

  2. ゴミ・汚染物質排出先として環境を捉えた場合の“自然浄化・回復機能の有限”

 第一の視点の“資源・エネルギーの有限”は、マルサスの人口論以来いろいろと言われてきた。 この考えを集大成したのは、1972年にローマクラブが発表した『成長の限界』であった。 しかし、研究成果にあるように2回の石油ショックがあったが、1980年代半ばには逆に原油価格の暴落を経験することとなった。 そのため、ローマクラブの研究は価値を失った。 現在、石油代替として天然ガスへの切り替わりが行われつつある。

 第二の視点の“自然浄化・回復機能の有限”は、地域的な公害問題として始まった。 世界で本格的な排ガス規制は、盆地の地形に人口が密集しているロサンゼルスという都市を持ったカルフォルニア州で1970年に成立し、1975年から適用されたアメリカのマスキー法である。
 ことに、山脈に囲まれ、空気が滞留しやすいロサンゼルスでの環境悪化は深刻だった。 風が弱いときに逆転層が起き、1940年ごろから光化学スモッグによる大気汚染が問題になっていた。(148ページ『トヨタvs.ベンツvs.ホンダ』)
 排気ガスには炭化水素HC、一酸化炭素CO、硫黄酸化物SOx、窒素酸化物NOxやディーゼルエンジンの浮遊粒状物質(SPM:Suspended Particulate Matter)などがある。 ガソリンエンジンではHC、COとNOxについて、水冷エンジンによる燃焼温度のコントロール、燃料噴射装置によるエンジンの電子制御、触媒による排出ガスの後処理技術により大幅に改善した。 SOxは燃料に含まれる硫黄(S)分の除去によって対策が打たれた。
 1990年、大気汚染に悩まされていたカルフォルニア州では、州大気資源委員会(CARB)が大胆な構想を打ち上げた。 「1998年までに無排気車の販売を開始するよう」自動車メーカーに命令した、LEV(California's Low-Emission Vehicle Regulations)という法律が制定されている。 カルフォルニア州での販売台数の多い自動車メーカー7社に対し、1998年以降は販売台数の2%、2001年に5%、2003年以降は10%のLEVの販売を義務づけた。
 その後、LEV法の施行が延期され、自動車メーカー等でカルフォルニア・フューエルセル・パートナーシップが作られた。 それら7社が、販売台数の割合に応じて電気自動車を3750台を販売し、この間に、自動車メーカーが合致する車を準備するということに決着した。 カルフォルニア・フューエルセル・パートナーシップには、米エネルギー省・運輸省などのほか、フォード、ダイムラー・クライスラー、GM、VW、トヨタ、ホンダ、日産、現代などの自動車メーカー、シェル、BP、テキサコなどの石油メーカー、燃料インフラストラクチャー関連企業、燃料電池メーカーのバラード社などが加盟する。 ZEV法は2003年頃に実施が確実視されている。
 2003年から始まるゼロエミッション規制(同州で販売する自動車のうち10%をZEVにする)を以下のように変更した。
  1. 2%をゼロエミッション車 − 電気自動車及び水素ダイレクト燃料電池車
  2. 2%をハイブリット車またはガソリン等を燃料とする燃料電池車
  3. 6%を極端にクリーンな在来型自動車(燃料系の蒸発ガスがゼロ)


 日本でも同じく柳町交差点の排気ガス問題が話題になり、マスキー法と同様の法律が制定された。
 1970年7月には、日本でも初の光化学スモッグによるものと思われる被害がはっきりとしたかたちで発生した。 東京・杉並区の高校で運動場に出ていた女子生徒40数人が呼吸困難やめまい、目や喉に訴えたのである。 この2カ月前には、東京・新宿区の牛込柳町交差点付近で、自動車の排気ガスによる鉛公害が発生しているとして、マスコミで大きく取り上げられて問題になった。
      (中略)
 1974年1月、紆余曲折を経て、環境庁はマスキー法とほぼ同じ規制値を告示した。 それは小型車中心の日本車メーカーにとって、大型車中心のアメリカより実質的にきびしい数値となった。 これを受けて運輸省は3月、排気ガス規制を1975年度および76年度の2段階で実施することを告示した。(148〜149ページ『トヨタvs.ベンツvs.ホンダ』)
NOxとPMについては、日本の排出ガス規制は強化されてはいるものの、観測データ上では一向に改善が見られていない。
 東京都では石原知事のイニシアティブによって1999年8月より、“ディーゼルNO作戦”といった独自の環境政策を行なっている。 これはLEV法と同じく地域、つまり都市環境対策の性格が強い。
 浮遊粒状物質(SPM)は気管支ぜん息の発症との因果関係が認められている。 SPMについては、ほとんどがディーゼル自動車から排出される粒子状物質(PM)が原因である。 その主な内容は、『都独自のPM排出基準値を決め、新車登録後7年の猶予期間は設けるが、2003年10月以降、この規準を満たさないディーゼル自動車は都内を走行できない。 そして、ガソリン車、CNG車、LPG車、及び都知事が認定するDPFを装着したディーゼル車の4車種を、この排出基準を満たす低公害な車とし、これらを買い換えることを推奨する』というものである。

 ディーゼルエンジンはNOx対策を行うと、黒煙(パーティキュレート)が増加すると言われている。 問題になっているパーティキュレートとは、大気中を浮遊する特に10ミクロン以下の粒径の粒子で浮遊粒子状物質といい、SPM(Suspended Particulate Matter)と略している。 大人は1日に15〜20mの空気を吸っている。 空気を取り込む際にSPMも鼻から入り気管や肺に入り、このどこかに沈着する。 SPMの1つであるディーゼル排気粒子は、アレルギーに関連する喘息、鼻アレルギーやアレルギー性結膜炎などの症状を悪化させることが動物実験により観察されている。

 SPMにはトラック・バスから排出されるディーゼル排気粒子のようにエンジンから直接排気される一次粒子がある。 排出されたガスに含まれるSOやNOなどのガス状物質が大気中で冷やされ粒子状物質に変化する二次生成粒子がある。
 ディーゼルエンジンから排出されるパーティキュレートはタバコの煙よりも細かく、非常に細かい粒子が含まれている。 SPMのうち直径が2.5ミクロン以下の微小粒子状物質をPM2.5と呼んでいる。 PM2.5は肺の奥まで進入しやすく、一度入り込むと排出されるまでに数ヶ月から数年かかる。 その危険性は、滞留時間が長いことと、およひその成分が科学的に反応しやすいことにある。

 この黒煙を吸収するフィルターとしてDPF(Diesel Particulate Filter)がある。 1998年12月の中央環境審議会の答申『今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について(第三次答申)』によって 平成14年から16年にかけてのディーゼル車の排出ガス規制の強化(新短期規制)が行われる。 この規制では、加速時の黒煙の排出量削減のために、排出ガス測定モードを変更することが織り込まれている。 この新短期規制は東京都の排ガス規制強化の動きにより前倒しされ実施されることとなった。

 なお、今後のディーゼル車問題については、次のように考えられる。 現在あるガソリン価格と軽油価格の差は、課税の金額によって生じている。 軽油に対する課税金額を上げ、ガソリン価格に近づけることにより、ディーゼル乗用車と小型ディーゼルトラックをガソリン車に転換させる。 中型トラックと大型トラックはDPF等の装着によって、排ガス規制を強化する。 2005年からEuro4と呼ばれる自動車排ガス規制が実施され、事実上DPFの装着が義務づけられた。 例えば、プジョー社のHDiディーゼルエンジンにDPFフィルターが装備され、最大のユーザーとなっている。  
ヨーロッパでは、2005年に導入されるユーロ4でPMの排出量を現状の10分の1に削減することが義務づけられている。 グローバル化が急速に進む中、日本の自動車産業としても2年前倒しして、2005年までにPMを現行規制の3分の1にまで削減することを発表した。 欧米先進諸国と比べて日本のディーゼル車の排ガス対策はあまりにもおくれており、一昔前の甘えの体質がいまだ続いていた。
 これでは、グローバル化したいまの時代、業界を保護するつもりで低く設定した政府の排ガス規準が、かえって日本のディーゼルエンジンメーカーを甘やかせて技術開発をおくらせ、結果として、欧米諸国から取り残されてしまうことを理解していなかった。(384〜385ページ『トヨタvs.ベンツvs.ホンダ』)
 アメリカでも2007年頃から同様の規制を導入することが提案されていたが、2年前倒しし2005年から実施されることになっている。 但し、アメリカではガソリンと軽油に対する課税額も少なく差がないため、小型トラックはほとんどガソリン車である。 ディーゼル車は大型トラックが大部分となっている。

 なお、排ガス規制はエンジンの対策のみならず、燃料の分野でも行なわれている。  ガソリンは2000年1月より、ガソリン中のベンゼンを、それまでの5%以下から1%以下に改善した。
ディーゼルエンジンについては、軽油中の硫黄分を2004年末までに50ppmに低減することが決っている。 燃料に含まれる硫黄分等は、パーティキュレートやNOx排出防止の触媒の寿命を短くする。 なお、1992年には2000ppm、1997年には500ppmに低減されている。

 ガソリン、軽油の硫黄分を、10ppm以下までに低減することをサルファフリーと呼ぶ。 欧州では2005年から段階的に導入し、2009年よりEU全域でサルファーフリーに規制する。 米国では2006年にガソリン80ppm、軽油15ppm以下に規制する。 日本では2005年1月からサルファフリーを供給する。


地球環境問題 


 地域的な公害問題が地球環境問題に発展したのは、2つの出来事があったものと考えられる。 ひとつが北欧で起きた酸性雨の原因が、他のヨーロッパ地区に由来していることである。
 もうひとつがフロンが、上空で有害な太陽からの紫外線を遮っていたオゾン層を破壊することがわかったことである。 オゾンホールの出現である。 1970年代半ばにアメリカとメキシコの2人の学者によって予想されたことが、1985年に南極での観測で証明された。 同様に、温室効果ガスとしてのCOの問題である。

 アメリカでは第一次石油ショック後の1975年に、燃費規制(CAFE)を策定した。 当初は有限な石油資源の有効利用という視点から規制が行なわれていた。 1980年代半ばになると原油価格の暴落によって、乗用車27.5mpg、小型トラック(SUV)20.9mpgに固定された。 最近、炭酸ガス排出規制の動きにより、燃費規制の甘かったSUVに対して批判が集中した。 結果、フォードが2005年にハイブリッドや燃料電池を使用して25%の燃費向上を約束した。 GMも同様に2004年に大型ピックアップトラックにハイブリッドシステムを塔載し、燃費向上を行おうとしている。
 同様に欧州自動車工業会とEUが結んだ自主的な燃費向上目標がある。  
EU(欧州連合)では、乗用車からのCO排出が全排出量の12パーセントを占め、その対応が地球温暖化を救うカギになっていた。 それを受けて、欧州自動車工業会(ACEA)は98年11月、1キロ走行時のCOの排出量(業界平均)を、2008年までに95年比25パーセント減の140グラムに押さえることで合意した。(12ページ『トヨタとホンダ』)
 日本では1999年4月に施行された改正省エネ法で、2010年(平成22年度)燃費基準がトップランナー方式で定められた。 しかし、日本の燃費規制は車両重量クラス別燃費改善目標であり、大型車が売れるか、小型車が売れるかで効果が変わってくる。 また、走行距離が伸びているので、CO排出量の削減は難しくなっている。
 トヨタ自動車では、この目標を2005年に前倒しして実施すると公表している。

 その他、燃費の良いハイブリッドカー、ディーゼル車等が増えている。 しかし、ディーゼル車は燃費効率が良く、排出二酸化炭素量も少ない反面、排気ガスが汚れている欠点がある。 平地の多いヨーロッパではあまり問題になることは少ないが、人口密集地の東京都では大きな問題になっている。

 塩化ビニール等には、柔軟材等の添加物として鉛等の様々な環境ホルモンが含まれている。 特に、鉛、水銀、六価クロム等の使用が原則禁止された。 鉛はプラスチックへの添加のみならず、鍛造素材にも添加されている。 鍛造素材についてはほぼ廃止されつつある。 水銀はライトの電球に少量使用されている他は、ほぼ廃止されたようである。 六価クロムはメッキに使われていたが、三価クロムに転換が進んでいる。 しかし、三価クロムは人体に対する影響は少ないが、全く無害というわけではない。 また、三価クロムによるメッキは、六価クロムのメッキより耐久性が少し劣る。 そのため、リサイクルしやすいよう自動車に使用するプラスチックの種類の明記は行われている。 今後はリサイクルしやすい素材へ、使用するプラスチックの種類の削減等が行なわれる必要がある。

 これまでは製品そのものの環境対策を書いたが、いかに環境に負荷をかけずに生産したかも重要視されてきている。 もっとも有名なのがISO14001規格の環境管理システムの認証の取得である。 環境に配慮した商品であれば必ず売れるわけではないが、環境に配慮しない商品は売れなくなっている。 このような中で企業が環境を重視していることを宣言し、これを第三者機関に証明してもらうのがこの認証取得である。 しかし、この認証の取得には効果(パフォーマンス)の度合いは問われない。 そのためには環境負荷物質の排出等の情報開示が必要となってくる。 これを法的に担保したのが、“環境汚染物質排出移動(PRTR:Pollutant Release and Transfer Register)法案である。 法案が順調に成立すれば、平成13年(2001年)に施行された。

 トヨタ自動車では、1999年3月に「環境に関する調達ガイドライン」を全関係仕入先約450社に提示した。 仕入先各社を含めた総合的な取組みを展開することで、環境負荷物質の低減、リスク回避を図るという試みである。 これによって、

  1. まだ、ISO14001外部認証を取得していない企業に対してその取得を要請
  2. 環境負荷物質データの提示と強力を要請
1では1999年10月までに197社が取得した。2では製品中の環境負荷物質を管理するため、約320の化学物質を対象として、成分データの提示と低減を求めた。

 トヨタ自動車販売店協会は、1999年春に協会内に新設した環境研究会で検討を重ね、同年11月に販売店での環境対応の指針として「トヨタ販売店環境ガイドライン」を策定した。
こうした販売店の取り組みに対して、目標の2002年達成のためトヨタは積極的な支援活動を展開している。 衛星放送などを使って、具体的な実務面などでの取り組みについて説明を行なう一方、営業担当者からの販売店に対するアドバイスなども継続的に実施している。 環境問題の社会動向やトヨタ各販売店、異業種の環境取組などの情報提供を行なう「トヨタエコ通信」を2000年4月に創刊、季刊で発行した。

 1992年に通産省(現経済産業省)は、『環境に関するボランタリープラン』の策定を77業界団体に協力要請した。 自動車業界でもこの時のボランタリープランが発展する形で、環境報告がまとめられていった。

 タイヤの空気圧も燃費に関連して環境問題に綱勝っています。 そのため、TPMS(タイヤ空気圧監視システム)の義務付けが考えられている。

自動車各社の環境問題を取り上げたホームページは、

自動車会社各社の環境報告は下記のとおりです。


環境関連技術


1.直噴ガソリンエンジン

2.可変バルブタイミング機構

3.コモンレール方式直噴ディーゼルエンジン

4.3リッターカー

5.CVT


エタノール 


 トヨタとホンダがエタノール燃料でもガソリンとエタノールの混合燃料(以下、エタノール混合燃料)でも走行可能な「フレキシブル・フューエル・ビークル(FFV)」を開発し、2006年中に販売する。 ブラジルで使用されているバイオエタノール燃料は、サトウキビを原料としており、これを燃焼した場合に放出されるCO2は、もともと植物が大気中のCO2を光合成により取り込んだもので、大気中のCO2濃度には影響を与えない。 石油の代替燃料であると同時に、地球温暖化対策としても注目されている。

 バイオエタノール85%にガソリン15%を混ぜたバイオエタノールE85がある。 森林の残滓、サトウキビ、テンサイ、トウモロコシ等の穀物からバイオエタノールが作られている。 ガソリン100%からE85までのどの比率でも使用可能なクルマがフレックスフューエルE85車である。

 スウーデンのサーブ社(GM子会社)は、2005年にサーブ9-5にフレックスフューエルE85を発売した。
 ボルボ社もE85使用可能なフレックスヒューエル車用のエンジン3タイブを発売する。 1.8リッター、2.0リッター、2.5リッターの3種類である。
 ルノー社は、2007年にE85に対応した「メヌーガ1600cc」を発売した。
 PSA(プジョーシトロエングループ)も「プジョー308(2000cc)」、「シトロエンC4(2000cc)」フレックスフューエルE85を2008年に発売する。
 2006年1月、フォード社はE85使用可能な「エスケープ ハイブリッド E85」を発売した。
クライスラー社も「コマンダー」「グランドチェロッキー」の4.7リッターエンジン搭載車をE85使用可能車を2007年モデルから発売した。  英国ではブリティシュ・シュガーは英国初のバイオエタノールの生産設備を作り、2007年9月から生産を始めた。

 一方、米国ではトウモロコシを原料としてエタノールが作られ、ガソリンに10%混ぜたE10と呼ばれる燃料が、中西部のコーンベルトと呼ばれている地域を中心に作られている。 アメリカに輸出されているクルマは、E10に対応していなくてはならない。

 また、ホンダはこれまで困難とされてきた、稲藁など、食用に供さない植物の茎や葉といった、ソフトバイオマスに含まれるセルロース類からアルコール燃料を製造する技術を開発したいる。 同様の試みは、建設廃材等からエタノールを製造する試みとしても行なわれている。 コストが高いことが問題となっている。

 タイのタクシン首相は7月5日、既定方針通りに06年末までにオクタン価95ガソリンの国内販売を停止すると語った。石油代替エネルギー推進が目的で、オクタン価95ガソリンについてはエタノールを10%混合したガソホール95や同20%混合したE20に全面的に切り替える。 オクタン価95ガソリンはガソリンに添加剤となるメチルブチルエタノール(MTBE)を混合した燃料。国内ではオクタン価91と同95ガソリンを販売しているが、オクタン価95ガソリンは国内消費量がさほど多くなく、販売停止しても影響が小さいと判断した。 シェルもオクタン価95ガソリンの販売を停止すれば、月間で500〜600万リットルのエタノールが必要になるが、実際のエタノール供給量は同240万リットルだと指摘。十分なエタノール供給量を確保できるか疑問視している。 国内でタピオカ価格が下落しており、澱粉を生産した後の副産物からエタノールを生産する動きが活発化している。 タピオカ澱粉協会によると、3社のタピオカ澱粉メーカーが年内にエタノール生産に乗り出す予定だ。 エタノール価格は1リットルあたり23バーツだが、タピオカ残滓からは同20バーツで生産可能で、十分に利益が確保できるとしている。  タピオカ澱粉メーカーが計画しているエタノール生産プラントはいずれも日量5万リットルで、ナコンラチャシマ県、チョンブリ県にプラントを建設する。 生産機械はは中国から輸入し、投資額は各2億バーツが見込まれている。1000トンのタピオカを処理すると350トンの残滓が発生、これを原料にすると1万5000トンのエタノールが生産できる。


バイオディーゼル 


 バイオディーゼル燃料は、植物性油や動物性油をメタノールと反応させメチルエステル化させたものをバィオディーゼル燃料と呼んでいる。 メチルエステル化することで、油の中に含まれるグリセリンを取り除き粘度を下げ、燃料ポンプ等の詰まりを防止している。 製造に使用されている植物性油は、大豆(主にアメリカ)、菜種とひまわりの種(主に欧州)、パームやし(東南アジア)で使用されている。 バイオディーゼル油が20%(B20)以下なら、既存のディーゼル車を仕様の変更や部品交換なしに使うことができると言われています。

 バイオディーゼル燃料は、農産物の過剰生産分を使用して、アメリカやフランスといった農産国で主として生産される。 フランスでは販売している軽油に5%のバイオディーゼル燃料が含まれている。

 バイオディーゼルの原料としてヤトロファ(和名サンゴアブラギリ)が注目されている。 トヨタ自動車グループがPTT社(旧タイ石油公団)、カセサート大学と共同研究に入る一方、農業・協同組合省はヤトロファの栽培面積を増やす方針である。 バイオディーゼルへの応用はカセサート大学が中心になって研究する予定で、トヨタグループは1500万バーツ、PTTグループが1800万バーツの費用を負担するほか、専門家の派遣や関連資材、エンジンの性能試験などを分担する。 タイ国トヨタ自動車の佐々木良一社長は、もし実用化試験の結果が良好ならバイオディーゼル対応エンジンの生産台数を増やすと語っている。

 ヤトロファは乾燥した土地でも栽培できる高温性の植物で、安価な上にバイオディーゼル原料として安定供給が期待できる。また1キログラムの種子から5000キロカロリーの燃料が抽出でき、通常の種子の同3000キロキロカロリーより高い。 バイオディーゼルでは通常パーム椰子から抽出した油を使っているが、将来の代替燃料としてヤトロファが注目されている。 タイ政府では第2次石油ショックが起きた79年にナコンサワン県にヤトロファの実験農場を開いたが、その後は石油価格の下落とともに一時中断、05年に農場を再開したばかり。 現在、国内では約3万ライのヤトロファ畑があるが、農業・協同組合省では08年までに200万ライに拡張する計画を進めている。 国内のパーム椰子栽培面積は現在100万ライ程度で、バイオディーゼルの増産のため向こう5年間に500万ライに増やす計画だった。 最終的には1日あたり850万リットルのバイオディーゼルを生産し、海外から輸入する軽油を10%削減する予定になっている。

バンチャーク石油は首都圏の14ヶ所の給油所でバイオディーゼル「B5」を供給しており、バイオディーゼルを扱う唯一の石油元売業者になっている。 アヌソン社長はバイオディーゼルを促進する政府の方針が不明瞭なため、バイオディーゼル生産事業への投資は、金融機関の支援を得られない状態になっていると指摘している。アヌソン氏は国のバイオディーゼル促進政策は1貫性と、個々の政府機関間の調整を欠いていると指摘。投資委員会による投資奨励などのガイドラインが整備されていないとした。 バイオディーゼルはパーム油を軽油に配合するもので、パーム油は主に南部で供給される。来年末までにはバイオディーゼル向けパーム油が日量30万リットル生産され、日量600万リットルのバイオディーゼルが供給されるようになる見込み。現在、軽油の消費量は日量5500〜5800万リットルあり、うち65%が運輸セクターの需要となっている。 計画では2010年までに日量850万リットルの供給態勢を整え、2012年までにはパーム油の配合比率を高めた「B10」の供給を始めることになっている。 ゴールデン・バイオディーゼル社が日量20万リットルで生産を行なっており、日量50万リットルへの増強を計画中。ラーチャ・バイオディーゼル社は日量2万リットル、代替エネルギー開発局がさらに日量6万リットルを供給している。バンチャーク石油はTMB銀行と共同で日量30万リットルのバイオディーゼルを生産するプラント開発を研究している。 総投資額は25億バーツ程度になる見込み。またタイ・オレフィンも20万リットルの生産を予定している。


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