生産管理講座
TOC(制約条件の理論)
TOC(制約条件の理論)
制約条件の理論は、イスラエルのエリヤフ・ゴールドラット氏なる物理学者が作り上げた理論である。
ゴールドラット氏は1984年に制約条件の理論について小説風に書いた『ザ・ゴール』を米国で発表した。
長らく日本語訳を拒んでいたと伝えられていたが、2001年になって日本語版が出版された。
「生産管理メソッド」と「思考プロセス」中心のサプライチェーン改革メソッドの総称である。
受注予測から資材手配・製造・販売・物流に至るサプライチェーンの制約条件に着目して、ドラムバッファローブという同期化の手法を用いつつ全体最適を見出す手法である。
トヨタ生産方式と似た、切れ目のない流れを重視した経営哲学である。
現在、ゴールドラット氏の4冊の本が日本語に翻訳され販売されている。
- 『ザ・ゴール』 エリヤフ・ゴールドラット著 2001年5月17日 ダイヤモンド社
- 『ザ・ゴール2』 エリヤフ・ゴールドラット著 2002年2月21日 ダイヤモンド社
- 『チェンジ・ザ・ルール!』 エリヤフ・ゴールドラット著 2002年10月10日 ダイヤモンド社
- 『クリティカルチェーン』 エリヤフ・ゴールドラット著 2003年10月30日 ダイヤモンド社
TOC(制約条件の理論)は、実にトヨタ生産方式と似ている。
トヨタ生産方式を理解したふりをしている人は多いが、実際のところ上級者でないとトヨタ生産方式はなかなか理解しにくい。
TOC(制約条件の理論)は、トヨタ生産方式を中・初心者向けに理論化したものと理解することもできる。
ただ、トヨタ生産方式は経験知の集まりである。
生産管理のみならず、人材育成という面を持っている。
TOC(制約条件の理論)はその中から生産管理の普遍的法則を見出した点は、大いに評価されるべきと思う。
思考プロセスは、日本由来のものとは別の考えを理論化して、まとめたものと推測される。
TOC(制約条件の理論)『ザ・ゴール1』
ユニコ社の出世街道を順調に歩んできたアレックス・ロゴという人物が、故郷ベアリントンの工場長に栄転してしばらくしたところから始まる。
この工場は在庫の山で、慢性的に納期が遅れ、顧客からの苦情で工場幹部は右往左往していた。
毎日毎日、工場での火消し作業に追われているアレックスが大学時代の恩師であるジョナに偶然に会い、それがきっかけでTOCの原理を教えてもらう。
このジョナこそがゴールドラット博士であり、アレックスは博士が指導した多くの企業の工場長たちである。
企業は目的や目標を持っている。
そして、その目的や目標を評価するための指標が必要である。
その指標の持つ仮定が間違えていると、企業は大きな被害を被ることになる。
『ザ・ゴール1』では、企業の目的は「お金を儲けること」と定義することから始まる。
企業は何かの目的、目標を達成するために、作られた組織である。
単に組織を存在させることが目的で、組織を作るわけがない。
ただ、目標を表す方法はひとつではない。異なる面から見ることによって、別の見方ができる。
財務管理の面から見ると、「利益」を増やしつつ、「財務収益率」「キャッシュフロー」の増加を同時にみたすことである。
1980年代に「あたまでっかちの経営」と言われたのは、財務管理面で「利益」のみを重視した結果である。
また、最近我が国で「キャッシュフロー」は、「利益」と「財務収益率」が協調され、有利子負債が上昇し過ぎたためである。
生産管理面からみれば、「スループット」を増やしながら、同時に「在庫」と「経費」を減らすことである。
スループットとは、販売を通じてお金を作り出すことである。
トヨタ生産方式を称するコンサルタントは、在庫削減を強調することで目標を達成してきた。
TOC(制約条件の理論)は、部分最適から全体最適を目指している。
従来の経営理論(生産管理理論)では、細分化し、それぞれをコストダウンすることで、全体もコストダウンすると考えられていた。
TOCの理論では、これを否定する。TOCの理論では、スループットを重視する。
TOCの理論では企業の業務をリングがつながった輪、つまりネックレスのようなもので表している。
トヨタ生産方式では、これを「流れを作る」という表現で表している。
TOCの理論の特徴は、工場の中の工程(リソース)を、ボトルネックと非ボトルネックに分けることである。
ボトルネックとは、その処理能力が、与えられている仕事量と同じか、それ以下のリソースである。
非ボトルネックでは、逆に与えられている仕事量よりも処理能力が大きいリソースのことである。
ボトルネックを通過するフローを市場からの需要に合わせなければならない。
工場全体の生産能力は、ボトルネックの生産能力により決まる。
それ故に、非ボトルネックを改善して効率が上がったとしても、工場全体の効率には全く影響を与えない。
それらの改善は、そのリソースがフル稼動している仮定のもとで効率が上がるのである。
右肩上りの時代は、そのような改善でも、いずれ生産能力が不足する時が来るので有効であった。
同様に、経済的バッチ量(EBQ:Economical Batch Quantity)も、非ボトルネックでは意味をなさない。
非ボトルネックの使用レベルは、それ自体の能力ではなく、他の制約条件によって決定される。
リソースを使用することと、リソースを活用することは別である。
工場の加工時間は、次の4つで決まる。
- セットアップ
- プラセスタイム
- キュータイム
- ウエイトタイム
キュータイムは工程待ち、ロット待ちと言われている。
ウエイトタイムは、他の部品が揃わないので生産できない時間である。
キュータイムとウエイトタイムを減らすことが、スループットを増やすことにつながる。
また、工場では加工工程の順番が『依存的事象』で決まっている。
『ザ・ゴール1』では、問題を引き起こす厄介者をマーフィーと呼んでいる。
手作業による作業時間のバラツキや、マーフィーによる突発的な出来事による『統計的事象』が存在する。
その『依存的事象』と『統計的事象』の影響から、ボトルネックを守らなくてはならない。
具体的な工場でのTOC(制約条件の理論)は、次の5つのステップのとおり行われる。
- ボトルネックを見つける。
- ボトルネックをどう活用するか決める。
- 他のすべてをステップ2の決定に従わせる(同期化、ドラム・バッファー・ローブの考え方)。
- ボトルネックの能力を高める。
- ステップ4でボトルネックが解消したら、最初のステップに戻る。
まず、ボトルネックを見つける。ボトルネックの前には、仕掛品の山ができることが多い。
一般的に、ボトルネックは工場に1ヵ所か2ヵ所しかない。
ボトルネックを100%活用するために、ボトルネックの前にバッファーとして在庫を置き、マーフィーから守る。
ドラム・バッファー・ローブ(Drum-Buffer-Rope)は、ボトルネックと前工程の非ボトルネックにおける資材の投入をつなぐなんらかの信号である。
トヨタ生産方式では後工程引取方式が、バッファー・ローブの役割を果たしている。
『ザ・ゴール1』では、ボトルネックはロボット(NCX−10)と熱処理炉であった。
それらボトルネックの前で、品質検査をし、不良品のの加工をなくした。
旧型の加工機械でボトルネックを下げたり、外注にも出した。
ボトルネックの前の在庫を何らかの理由で消化したら、すぐに補充しなくてはならない。
そのために、非ボトルネックは余剰生産能力を持つのである。
それらの方法は、直観でわかっていても、何かきっかけがないとわからないことである。
自ら考えることが重要である。それも、より広い視野で考える必要がある。
評論家と言われる人たちは、自ら考えず、今行なっている方法を、当たり前だと思ってやっている。
客観的オブザーバーとして、間違いだらけのルールにやみくもに従い、悲惨な結果につなげている。
5つのステップを回して改善が進むと、ボトルネックは移動する。
新たに5つのステップを回して改善する。継続的改善の考え方と同じである。
TOCの理論によって改善の進んだ工場は、トヨタ生産方式を導入した工場と同じようになるであろう。
『ザ・ゴール1』では、工場で改善が進んだ結果、ボトルネックが市場になってしまった。
この時の解決法の1つは、海外進出であった。
もうひとつは、1年ごとの数量を定めて、どんなリクエストにも3週間以内の納品を約束して長期契約を結ぶ方法であった。
また、ゴールドラット氏は経営の秘訣を披露している。
需要よりフローを若干小さくしておかないといけない。市場の需要が減った場合、損失が出るからである。
つまり、需要が減っている時に、過剰在庫を持たないことを強調している。
需要が減って上に過剰在庫を持ては、価格は下落してしまうからである。
思考プロセス
『ザ・ゴール』の主人公のアレツクス・ロゴが再び登場する。
彼は工場長からユニコ社が多角化のために買収した3つの多角化グループを統括する副社長に出世している。
ところが会社の業績不振を理由に、これらの事業グループを売却すると通告された。
そこで多角化事業グループの売却を防ぐために各社とも数ヵ月以内に画期的に業績を上げるという、不可能に近い難題に挑戦することになる。
TOC(制約条件の理論)の中で最も重要なものが、この思考プロセスであると考える。
トヨタ生産方式は手法を通して、最終的にはモノの見方・考え方を習得を最終目標としている。
また、コンピテンシーの考え方も高業績を上げている人の仕事のやり方をマネることにより、モノの見方や考え方を習得する方法であると考える。
TOCも同様に、どのような問題でも解決できる思考プロセスが最も重要である。
TOCの思考プロセスの特徴は、図で示すことと因果関係を重視することにある。
TOCの思考プロセスでは、問題を必要条件間のコンフリクト(対立点)として捉える。
私たちは、コンフリクトに遭遇すると妥協点を見つけようとする。
Win−Loseのゼロサムの考え方である。
一方、TOCの思考プロセスではWin-Winの考え方を導き出す。
『何を変えるか』『何に変えるか』『どうやって変えるか』に対して答えを導き出すのが、思考プロセスである。
『何を変えるか』は<現状問題構造ツリー>で、真の問題をみつける。
正確に『何に変えるか』には答えを与えていない。
答えは、業界に対する深い理解と、経験に基づいた勘しかない。
そうして作り上げた答えにを検証するのが、<現状問題構造ツリー>である。
同様な方法で、『どうやって変えるか』に答えを与えるのが<移行ツリー>である。
問題を解決してコンフリクトを解消するための簡潔な方法を提供してくれる。問題を<雲>として表現している。
この<雲>と<雲>をつなぐ前提となった仮定が正しくないことを証明することによって、問題を解決する。
これを<蒸発する雲>と表現している。
コンフリクトを解消するには、それぞれの矢印の仮定をよく検証しなくてはいけない。
思考プロセスは、本能的に感じることを言葉に表現してみることで、経験に基づいた自らの勘を最大限に活かすことができる。
それを確認することができる。
業界での経験と勘は、解決策を付け出すための必要条件であるが、十分条件ではない。
実用性のあるシンプルな解決策を見つけるには、経験と勘を活かすための手段が必要である。
それがTOCの思考プロセスである。
原因と結果の因果関係をきちんと認識できるまでは、状況をはっきり把握したとはいえない。
まず最初にシステマティクな方法を用いて、その状況におけるすべての問題を関連づける因果関係を図に表す。
この図を<現状問題構造ツリー>(Current Reality Tree)と呼ぶ。
このツリーを構築できれば、問題すべてに1つひとつ対応する必要ないことがわかる。
コアの部分には原因は、1つが2つしかないのである。
問題のほとんどは症状であって、問題(原因)ではない。
コアの問題(原因)として派生する結果(症状)なのである。
そうした症状を好ましくない結果(UDE:Undesirable Effect)と呼んでいる。
- 『好ましくない結果』をリストアップする。
- 列挙した『このましくない結果』同士の因果関係を見つける。
具体的なやり方は下記である。
- 『好ましくない結果』をカードにかき出す。
- 『好ましくない結果』同士を因果関係によって矢印で結び、フリップチャートに貼り付ける。
- 不足している『好ましくない結果』を付け加える。
これは日本でも良く行われているカードメソッドに似ている。
しかし、日本で行われている方法は、類似性でカードを分類する方法が主流である。
それに対して、TOCの思考プロセスは、因果関係によってカードを結びつける。
また、『ザ・ゴール2』には、市場がボトルネックとなっている例が示されている。
クライアントの『このましくない結果』から<現状問題構造ツリー>を使って、“コアの問題”を把握します。
市場が抱えている根本的な問題を指摘します。
物理的な製品だけでなく、それ以外の部分も含めた取引条件全体の中で何を変えるかを考える。
妥協(最適化)は、一定の範囲内で最善を尽くすことであり、その範囲の外で解決策を見つけないといけない。
マネジャーは常に画期的な解決策を探しながら、会社経営に尽力しなければいけない。
それを阻んでいるコンフリクトがあるからである。
そのコンフリクトは<現状問題構造ツリー>に示されている。これを見つけださなくてはならない。
この本では、『クライアントの価値観を考慮する』と『サプライヤーの価値観を考慮する』であった。
そして、『商品に対する市場の価値観を十分に高めるために、何らかの策を講じる』であった。
新たな条件を提示した場合、クライアントにどのようなインパクトがあるのか<未来問題構造ツリー>で構築する。
<未来問題構造ツリー>は、“If(もし…ならば)、Then(…ということになる)”のロジックを使って、デメリットを結びつける。
次に、問題が起こるのを確実に阻止する方法、つまりネガティブを排除するためにどのような活動を行なったら良いかを考える。
構築した<未来問題構造ツリー>を社内のできるだけ多くの部署、人間に見せ、彼らの懸念を聞き出す。
1つひとつをネガティブ・ブランチの形にして書いてみると、大きな問題になりそうなものはだいたい全て見つけることができる。
大きな問題につながりかねないネガティブ・ブランチはここで排除する。
クライアントとの取引条件を完成させる。
更に、営業活動の方法についても書いている。早急に商品を売り込んではならない。
- 買い手側が抱える問題を、お客様の立場になって説明する。
- 提案する商品のメリットを説明する。
『ザ・ゴール2』では,3社の例が掲載されている。
ひとつ目の例は、 印刷会社の例である。
生産能力は劣るが切り換性の良い旧型の機械を、生産性は高いが切り換性の悪い機械にどう対処させるかの問題である。
切り替性の問題はトヨタ生産方式で有名になっているので、馴染みのある問題だろうと思う。
ロットの大きな仕事は、最新鋭の高速機械の単価と競争できなかった。
しかし、それらのロットの大きな仕事では、クライアント側のモデル切替えによって、使用されず廃棄される製品も多かった。
そこで、受注期間2ヶ月で、2週間毎の納品で、1回目の注文以降いつでもキャンセルできる条件を提示した。
クライアントは、多少の契約単価が上昇しても、廃棄処分が減り、コストが下がった。
更に、在庫量も減り、キャッシュフローが増える利点があった。
これは、トヨタ生産方式の考え方と同じで、馴染み深いであろう。
次に、アイ・コスメテック社の例では、製品物流の例が示されている。
アイ・コスメテック社は全米の何千もの販売店に対して、約650種類の商品を提供している。
全米に25の倉庫を持っているが、全アイテムを出荷できるのは、注文全体の30%ぐらいだった。
不足したアイテムは後から発送し、多くの費用がかかっていた。
倉庫は3ヶ月先の販売を予測して、工場に注文をしなくてはならなかった。
ある倉庫では在庫が底をついているアイテムも、他の倉庫では在庫があふれている状況であった。
倉庫から倉庫へ製品を移動させる費用も多くかかっていた。
問題は不確実性の高い3ヵ月先の需要を予測することにあると考えた。
つまり、制約条件は販売店にあると考え、販売店の注文に合わせて倉庫に在庫を持ち、工場で生産する方法に直した。
具体的には、できた製品は工場に在庫し、倉庫には20日程度の在庫を置くことにした。
倉庫には販売店の注文に対応でき、補充にかかる日数分の在庫しか置かないようにした。
また、工場は25の倉庫の代わりに在庫を持つことになり、在庫管理の水準は5倍になる。
新モデルの切替え時における、在庫管理がより容易になった。
これをTOCで説明すれば、販売店を制約条件に、倉庫、工場がバッファー・ローブでつながり、販売店の注文に応じて工場が生産するようになった。
結果、納期内の出荷率が30%から90%に向上し、在庫は90日分から40日分に減少した。
全米の倉庫に20日分の在庫、工場に20日分の在庫がある.
また、販売においては、注文数量による価格設定でなく、年間の販売量に応じた価格設定にした。
それでいて、販売店への商品の補充は、1日単位で行なった。
短期的に減る販売のため、陳列スペースの確保を条件にした委託販売を始めた。
3番目のプレッシャー・スチーム社の例では、スペアパーツの委託販売を考えた。
更に、新規設備のリース、保守・点検事業を提案することになった。
古いルールを変える 『チェンジ・ザ・ルール!』
多くの企業が成功を収めるために最大の制約になっているのは、『部分最適化をベースにしたルール』を持ち続けていることである。
具体的に言えば、右肩上りの成長していた時のルールを維持し続けている、若しくはしがみついていることである。
例えば、生産管理を例にとれば、改善活動である。
改善活動はフル稼動しているという仮定のもとで、改善効果が算出される。
右肩上りの頃は、フル稼動していなくても、いずれフル稼動になり、改善効果が出てくる。
しかし、現在のような生産能力過剰の時代では、ほとんどの改善活動が意味を持たなくなっている。
70%の稼動を60%に下げたとしても、企業には何ら利益をもたらさない。
特に、企業の基幹となるルールが、『部分最適化をベースにしたルール』である場合、企業は致命的な損害を被る。
『チェンジ・ザ・ルール!』では、ERP(統合業務パッケージ:Enterprize Resource Planning)のソフトウェア会社が舞台となっている。
近年のITの進歩はめざましい。しかし、最新のソフトウェアを導入しても、企業は画期的な成果を上げていない。
その原因は、導入企業が昔のルールを変えることなく、新しいソフトウェアを導入したためである。
昔の『部分最適化をベースにしたルール』に基づいて、最新のソフトウェアを導入しているからである。
新しいコンピュータシステムのメリットは、従来だったらできないことが、できるようになることである。
従来は、膨大な量のデタを保存したり、転送したり、必要なデータを瞬時に取り出すために使用していた。
新しい試みとして、クライアントの利益を向上させる核となるモジュールを追加することであった。
ERPは会計データの処理から始まった。
『チェンジ・ザ・ルール!』では、MRPのモジュールが組込まれた段階を想定している。
ここに生産におけるプランニング(計画)とスケジューリング(統制)のモジュールの追加を目論んだ。
今までの生産管理のコンピュータシステムは、プランニング中心であった。
条件変更があると、全生産計画を変えてしまう性格のものだった。
これでは生産管理を行なう管理者が管理できない状況になってしまう。
ここでTOCを登場させて、ボトルネックの生産のみをプランニングさせ、他の非ボトルネックを従属させる方法をとった。
私たちにも馴染みのある空席予約型生産管理に似ている。
工場で飛躍的な効率アップを実現しても、他のシステムが昔のままだと、その悪い面を増幅してしまうことも示している。
この本では、慢性的な製品在庫不足のために、高めに設定した在庫水準であった。
『ザ・ゴール2』のアイ・コスメテック社で行なった、工場と倉庫の在庫管理を導入した。
また、ただ先進的なテクノロジーを導入するだけでは不十分で、価値を生むのにそのテクノロジーを活用することを考えなくてはならない。
この本の英語タイトル『Necessary But Not Sufficient』そのものであろう。
プロジェクト管理 『クリティカル・チェーン』
大学のエグゼクティブMBAの授業を中心にプロジェクト管理手法を確立していく話しである。
MBAを縮小しようと考える学長と、終身雇用教授に就任がかかった主人公を中心にしている。
1年間の研究休暇をもらって、ユニコ社でTOCを学んだジョニー・フイッシャー教授が、MBAの授業にTOCを導入した。
『ザ・ゴール2』で主人公アレックス・ロゴのアシスタントのドンが登場する。
個別生産やプロジェクトを管理するものとして、フローチャート、PERT、ガントチャートがあります。
しかし、予算のオーバーや期限までに終わらない、さもなければ計画の縮小という減少が起こっているのではないだろうか。
一般的には、クリティカルパスを活用した管理が行われている。
クリティカルパスとは、従属関係にあるパス、つまり経路で、一番長い経路(時間)と定義される。
第二次世界大戦後行われたU2偵察機の開発では、異例の短さで開発を終えている。
プロジェクトの管理が有効でないために問題が生じていると考え、進捗状況の評価方法を見直した。
プロジェクトは、反復生産でないために生じている不確実性が原因となっています。
そのために、各々の工程において80%とか90%の確立で完成する安全度を見越した期間が組込まれています。
その一方、せっぱつまらなければ取り掛かれない学生症候群、作業の掛け持ち、作業の依存関係がある。
プロジェクト・リーダーは、PERTによってクリティカル・パスを見つけ出します。次に、各担当者の持っている安全を見越した期間を削ります。クリティカル・パスの期間がプロジェクト期間となります。プロジェクト完成期間と整合性をとり、クリティカル・パスの後にバッファー(緩衝)期間を設けます。プロジェクト・リーダーは、予算と同様に予備の期間を持ち、予算とともに期間も管理するのです。
プロジェクトを期間内に終わらせるには、クリティカル・パスを期日どおりに行なうことが必要です。その他の工程は、クリティカル・パスと合流する時に合流バッファーを持つようにします。
しかし、同じプロジェクトでも、同じ人が行なわなければならなくて、スケジュール管理の難しい場合があります。クリティカル・パスの一部を変更し、同一の人が行なわなければならない工程を組込みます。これをクリティカル・チェーンと呼んでいます。
最後に、他のプロジェクトと人を取り合う場合、プロジェクト計画を決める前に、これら工程を早めに行なうボトルネック・バッファーを組込みます。
自動車工場のTOC(制約条件の理論)的解釈
自動車工場のボトルネックは、艤装ラインであろう。
溶接組立ライン、塗装ラインはここ20〜10年で機械化が進み、設備産業的になっている。
一方、艤装ラインは手作業が主の労働集約的な職場である。
短期的に(作業員の数を変えず)、ラインスピードを上げる余地は最も少ない。
多くの人が揃わなくては、生産できない。
残業を追加すると、最も大きな人件費が出ていく。
自動車会社は市場での販売動向に合せて、艤装ラインの生産台数を決める。
艤装ラインをボトルネックとして、最大限活用するために、前に塗装済ボディがバッファーとして置かれている。
次に、ドラム・バッファー・ローブとして、溶接組立ラインに対して投入スケジュールが与えられる。
同様に、エンジン、ミッション、部品にも、投入(納入)スケジュールが与えられる。
その方法がMRPであったり、カンバン方式であったりする。
塗装済ボディ、エンジン、ミッションのバッファーとしての在庫量は、ALCによって直接監視される。
部品のバッファーとしての在庫は、MRPの場合は監視の手段がなく、勘と経験と度胸に頼らざるを得ない。
カンバン方式はスケジューリングとともに、統制も行なわれている。
しかし、一定の在庫しか置かないため、平準化という制限が入っている。
確率的事象のために、つまり溶接組立での手直し、塗装での手直し、ツートンカラー等の影響がある。
これらの影響により、艤装ラインには部品手配時の生産計画順にボディは流れない。
そのために、艤装ラインにはエンジン・ミッションや部品のバッファーとしての在庫が必ず必要である。
トヨタ生産方式は在庫をゼロにする方式と、誤解されている面がある。
正確には、無駄な在庫をなくする生産方式である。
適正な在庫水準を計画し、それを統制する方法が必要である。
参考ホームページ
Mail
生産管理概論,
IE(Industrial Engineering),
トヨタ生産方式,
VA/VEについて,
セル生産方式,
TOC(制約条件の理論),
品質管理,
QCサークルについて,
総合的品質管理(TQM),
統計的品質管理(SQC),
ISO9000シリーズについて,
ISO14000シリーズについて,
シックスシグマ手法について,
自動車の品質問題の変遷について,
設備管理とTPM,
レイアウト管理,
生産計画の立て方,
資材手配,
資材手配の実際,
在庫管理,
購買管理,
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