情けは無用の巻

 

5月3日未明。黄金週間も後半戦に突入である。小次郎氏が野営している鳥取県の某所へ向かう道中はかなりの降雨だった。午前1時を過ぎて待ち合わせ場所に到着すると小次郎氏としょっかぁ氏の出迎えを受けた。目の前の大増水している川を見ながら、半ば諦めムードで翌日の釣り場はどうするかなどと相談した後就寝した。

翌朝、晩の雨もいったん落ち着きを取り戻したようで、川の水位も昨夜の大増水から小増水へと変わっていた。しかし再び夜明けと共に雨足も復活してきたようだ。小次郎、しょっかぁチームは少し下流の支流へ、こちらは別の水系の河川へと分かれて釣り開始である。朝の内に目的の河川の上流部に入渓するが反応が皆無だった。GW前半戦でかなり魚もいじめられたり抜かれたりしたのだろうか。それとも昨夜の雨で一気に水温が下がり活性が下がったのかは不明である。水温を測ると8度を少し切っていた。

午前10時頃同じ河川の下流に移る。先日イブニングにヒゲナガがハッチしていた堰堤下の小プールでヘアズイヤーニンフを流しているとインジケーターがぐぐっと沈んだ。あわせると猛烈なスピードとローリング。堰堤下の小段へ落ちてさらに下流に下ろうとするのを6Xのティペットの強度を信じて強引に上流側に寄せた。ネットに入ったのは尺を少し切るヤマメだった。あいにく堰堤下は増水しており写真撮影できる適当な浅場がない。魚をネットに入れて持ったままどこに移動しようかと思案したが、岸に上がった方が良さそうだった。その前に魚に呼吸させておこうとネットごと少し水につけた。このヤマメは頭の良いヤツだったのかどうかわからないが、ネットが水に触れた途端、それまでおとなしく「つ」の字になっていた体をまっすぐに伸ばし、ロケットのように飛び出していってしまった。あちゃ。情けは無用だったなあと思ったが後の祭り。下顎の真ん中にTMC900BLによる穴が穿たれたヤマメが釣れたらそれは私が逃がした魚の可能性があるのでご一報下さい(冗談)。

雨もやむ気配がなく、川の水かさが増してきてさらに周囲の田植えの影響であろうか、泥濁りが入ってきた。川をアップに釣り上がることも下ることも川底の様子が見えないので諦め、堰堤ごとにニンフやウェットで探る釣り方にスタイルを変えた。しかし甲斐なく日没を迎えようとしていた。こうなったら河川移動に掛けるしかない。小次郎氏らと待ち合わせした場所の上流のプールに付いてみるとで幸運なことにライズを発見した。モンカゲロウ等のメイフライのダンが盛んにハッチしている。ダンパターンで2匹魚を掛けた。20センチほどの元気のいいアマゴだった。なお私のキャスティングレンジを越えた領域には、ライズの先頭にかなり大型魚がいることだけは確かのようだった。だが暗くて足場が見えず、しかも流れが緩い場所ゆえ、粘土、シルト、枯葉などの有機物で構成された柔らかな堆積物の層が厚く、前に進むと足が沈み、ごぼごぼとガスがわき出てくる。そのうちライズも終わりプールに静けさが戻ってきた。底なし沼に捕らわれずにすんだことを運がよいということにしておこう。


5月5日。午前6時過ぎ車を叩くノックの音で目が覚めた。ノックの主は小次郎氏である。小次郎、T'bo氏が野営している場所へ前夜車を止め私は車中泊をしていたのだった。先日、イブニングで二桁ヤマメを釣って良い思いをしたT'bo氏はそのとき頑張りすぎたためか風邪ひきでダウン。彼を残し、私の車で小次郎氏と二人で川を回る。今日はいい天気である。さてさてどうなりますやら。途中キャンプ場にて、グリ氏、しょっかぁ氏御一行と挨拶を交わした後、まずは私の秘密ポイントというわけでもないが、竿抜けになっていそうな場所から入渓してみる。

佐酒氏出動前風景。フライラインが・・・

増水後の川は少し活性が高く、正解だった。小振りながら元気のいいアマゴがそれらしい場所を流せばぽんぽん出てくる。二人してにこにこで河川移動。今度は有名河川である。GW中なのであまり期待もしてなかったが、結構反応がよい。ところがどうも魚の出方が変なのだ。二人して一匹もランディングできないと云う不甲斐なさ。さて次なるポイントに移動。目的の場所に着いてみるとそこには知り合いが・・・ひげなが氏であった。こんなところで知り合いに会うとは。ひげなが氏によれば、我々が先ほど撃沈された川は先行者が居たらしい。どうりでチェイスが素直じゃないはずである。さて、イブニングにどこに行こうかと思案し、先日の泣き尺ヤマメポイントへ行ってみることにする。ところが川に着いた途端上空から大粒の雨が降ってきた。雷も鳴って竿を出せずに車中で時間を潰す。雨が小康状態になり満を持して入渓するものの私のワンチェイスに終わる。そのうち雨による濁りが入ってきて釣り上がり困難。ではと同じ川の上流部を目指す。こちらは濁りはないが、魚の反応がない。途中まで二人で丁寧に探ってゆくが、時間を追うごとにハッチが増加する多量の水生昆虫に不似合いなほど川は沈黙したままである。業を煮やして途中の区間は竿も出さずに歩いてパス。イブニングに実績のある小堰堤下のプールへやってきた。ますますハッチの量は増えてた。コカゲロウ、ガガンボ、ヒゲナガ等凄い数である。二人でじっとライズを待つ。さてどれほど待っただろうか。沈黙する水面に我慢出来なくなった釣りバカ二人はプールへ突進した。二人同時にプール下流からキャスティング競争の開始である。小次郎氏のレーンから10センチほどずらした私にだけ幸運にもイワナが出てきた。情けは無用であった。

ストマックをとってみると魚が補食しているものは#18前後のストーンフライのニンフが主体だった。これではライズしないはずである。逆にいえば素直にハッチに反応する魚はもう釣りきられたのであろうか。今後の更なる調査が必要である・・・となんらかの理由があると自分の釣りが少しは正当化できるのではないか、釣り人の心理からしてそう思わざるを得ないのであります(笑)・・・(つづきは乞うご期待?)。